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65歳超にはやらずぶったくり |
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河村直樹全労働副委員長に聞く |
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今国会に雇用保険法改正案などの一括法案が提出されている。予算関連法案のため政府は早期成立を狙っている。「雇用保険」に関わる部分の問題点はなにか、全労働省労働組合の河村直樹副委員長に緊急インタビューした。河村副委員長は高齢層への不公平な措置を疑問視。その上で、そもそも踏まえるべき事実認識と方向性が間違っていると厳しく批判している。 ▲負担増だけ押し付け ――法案のどこが問題ですか? 河村 最大の問題は、65歳超の新規就労者に対して、他の世代と同様に保険料を徴収しておきながら、給付は現行の一時金に据え置くことです。20年以上勤務した会社を、64歳で解雇されたら240日分の失業給付が出るのに、65歳で解雇されたら50日分の一時金というのは、あまりに不公平です。 現行制度では、65歳以上の労働者は雇用保険制度の対象ではありません。例外的に、64歳以前に雇用保険に加入していた人は、64歳で迎える4月1日以降は保険料が免除されて、65歳に達すると、高年齢継続被保険者となります。65歳以上で離職すると、高年齢求職者給付金という、失業給付(基本手当)50日分に相当する一時金が支給されます。 今回の法案では、まず65歳以上の労働者も雇用保険の対象として、保険料も徴収することとされています。経済的な理由から、65歳以降も働かなければならない人が増える中で必要な措置とは思いますが、老後の生活保障・セーフティーネットを考えるなら、年金など社会保障の充実こそ図るべきです。それを雇用保険制度に担わせるのは筋が違います。 ▲雇用情勢は今も厳しい ――法案は、雇用情勢が改善したから保険料を下げるという内容ですが、問題はありますか? 河村 法改正の内容を検討した労働政策審議会の雇用保険部会は、昨年10月の有効求人倍率が1・24倍だから雇用情勢は改善していると言っています。しかし、正社員に限れば0・77倍です。職業安定所の求人は非正規や低賃金が大半で、職員は依然として再就職は困難と感じています。雇用保険制度を見直すなら、再就職の厳しさを前提とすべきで、今回の改正案は現状認識を見誤って作られています。 審議会では労働者代表委員が、失業給付の日数や額などを充実させるよう求めましたが、「今後検討」と先送りされました。いまの制度では、雇用保険を受ける人の6割近くが、90日分しか失業給付を受けられません。そのため失業者のうち、雇用保険を受けているのはわずか2割程度です。失業中は、無収入を耐え忍ぶか、非正規でも低賃金でも再就職するしかないのが実態です。安心して仕事を探せるようにするには、給付日数などの改善が必要です。 財政状況が黒字で積立金もふくらんでいるから保険料は下げると言います。財政黒字も積立金も、給付を絞りに絞った結果です。まずは給付を改善して、そのために必要な保険料を検討すべきです。 ▲見当違いの再就職促進 ――審議会で使用者側は失業者を甘やかさず、再就職を急がせろと言っていました。法案には再就職促進策が盛り込まれていますね。 河村 失業期間に応じて最大限支給される日数を所定給付日数と言いますが、この日数を多く残して再就職した場合、一定の要件のもと再就職手当という一時金が支給されます。自己都合で退職した場合は、3カ月間給付の対象とならない給付制限期間が設けられます。法案では、この給付制限中に再就職した場合の再就職手当の給付率を引き上げます。改善ではありますが、雇用情勢が厳しい中で再就職を急がせるもので、それ以前に給付日数の改善が必要だと考えます。 離職前の賃金にくらべて低い賃金で再就職した場合、所定給付日数の残日数の一部を一時金として支給する就業促進定着手当が一昨年作られました。法案はこの手当も引き上げます。それは「低賃金での再就職を急げ」と言うに等しいものです。 〈表〉改正案のポイント ・65歳超の新規就業者を雇用保険の対象に ・保険料率の引き下げ(1・0%→0・8%) ・給付期間制限中の再就職手当支給率引き上げ ・就業促進定着手当引き上げ ・転居を要する再就職の促進(移転費の拡充など) ・短期の資格講習などを一般教育訓練対象に(連合通信) |
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