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2016年02月02日

「構内労働者の処遇改善急げ」
民放労連臨時大会

産業存続に強い危機感

  民間放送局や番組制作プロダクションの労組でつくる民放労連(全労連オブ加盟)は1月30、31日、都内で臨時大会を開き、放送局構内で働く派遣スタッフ(構内労働者)の派遣料金引き上げを求める方針を策定した。在京キー局の労組から「(この問題を放置していては)未来はない」との強い危機感が示され、業界全体で取り組むべきとの意見が相次いだ。

 方針は、構内労働者の組織化と併せて、発注費の増額を放送局に求める取り組みを今年も掲げた。具体的には(1)派遣料金を一人当たり月額35万円以上とする最低保障(2)1時間当たり150円の契約単価増額(3)全ての構内労働者に5万円以上の慰労金支給(4)契約条件のデータベース化(5)派遣法みなし雇用制度の積極活用――を盛り込んだ。

 同労連は、外注化の広がりに伴い、早くから構内最賃など底上げの取り組みを進めてきた。2012年には派遣料金引き上げを統一要求に据え、派遣料金の一律引き上げや慰労金支給、社員食堂の無料開放などの成果が多くの組合から報告されるようになってきている。

 討論では、番組制作現場の強い危機感が語られた。その眼差しは「超」が付くほどの長時間労働と、制作プロダクションの低処遇に向けられている。

 昨年、約700人の派遣スタッフ全員の派遣料金引き上げを実現させたテレビ朝日労組の代議員は、「テレビ局が職場として選ばれなくなっている。来ては辞めていくAD(ディレクター補助)たちを見ていると、この業界に未来はないと思う」と発言。TBS労組や日本テレビ労組も「賃金が低いままではいい人材が来ない。業界全体で取り組まなければならない」と語った。

 一方、あるローカル局の組合からは、「それどころではない。年末一時金闘争はマイナス回答で妥結した。昨春闘は情宣活動を強め、組合員が一丸となりベアを獲得したが、執行部は家に帰れないほど忙しく、新執行部の成り手がいなくなってしまった。(活動の効率化を進めた結果)皆を巻き込む運動ができなくなった」と苦しい胸の内を吐露する発言も。

 齋田公生書記長は「構内労働者の力があってこその放送業界。まずは単組で議論することから認識が広がっていく。すぐには取り組めなくても、2年先、3年先につなげるよう段階を踏んで取り組んでほしい」とまとめた。

 方針は「誰でも2万円以上」(定昇込み)を統一要求に設定。「政治圧力に屈することなく、放送における表現の自由を守りぬく決議」などを確認した。

〈解説〉産業のゆがみ是正へ労組の役割鮮明に

 放送業界では2000年代、広告収入の低下と併せ、番組制作の一層の外注化が進められた。コスト削減は、人材の定着、技能の継承、モラルの維持・向上面で大きなマイナス要因となっている。ねつ造やデータ改ざん、「やらせ」など放送への信頼を傷つける事象も後を絶たない。そうした現状への強い危機感が表われた議論だった。

 通常、組合員がいない別会社の処遇については団体交渉になじみにくいといわれる。派遣料金の増額や慰労金の支給など、長年の産別の取り組みが実り始めている背景には、慢性的な人手不足という労使共通の悩みがある。

 16春闘は下請などサプライチェーン全体の底上げが焦点。短期的利益にとらわれがちな経営に対し、産業のゆがみ是正を訴えることができるのは、現場を熟知する労働組合しかない。民放労連の構内労働者の取り組みは、そのことを分りやすく示している。(連合通信)

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