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2016年02月22日

国の責任4度認める
建材メーカーの責任を初めて断罪

訴訟団・弁護士・京建労などが声明

 1月29日、京都地裁は関西建設アスベスト京都訴訟裁判で、国と建材企業の責任を認めました。 関係団体の 声明を紹介します。

1.本日、京都地方裁判所第4民事部(比嘉一美裁判長)は、関西建設アスベスト京都訴訟(原告数27名、被害者数26名)において、国及び建材企業の責任を認め、国に対して総額1億418万円、建材企業9社に対して総額1億1245万円の支払いを命じる原告全面勝訴判決を言い渡した。  本訴訟は、建設作業従事者とその遺族が、危険なアスベスト含有建材を製造販売し続けた企業と、適切な規制を怠り流通を促進した国に損害賠償を求めた訴訟である。原告ら建設作業従事者は、アスベストの危険性や建材にアスベストが含まれていることを知らされないまま作業に従事し、建材から生じたアスベスト粉じんを吸引し、石綿肺、びまん性胸膜肥厚、肺がん、中皮腫などの重篤な病を患った。本件の被害者26名のうち、すでに16名が死亡(提訴後の死亡者が11名)という現実が物語るように、その被害は極めて深刻である。

2.本判決は、吹付作業者に対する規制については昭和47年10月1日以降、建設屋内での石綿切断等作業については昭和49年1月1日以降、屋外での石綿切断等作業については平成14年1月1日以降、国が、アスベスト建材について防じんマスクの着用や集じん機つき電動工具の使用、さらには警告表示を義務づけることの規制を怠ったことの違法性を認めた。建設アスベスト被害で国の責任が認められるのは、東京、福岡、大阪の各地裁判決に続き4度目であり、1月22日の大阪地裁判決に続いて連弾で国の責任が断罪されたことにより、この点に関する司法判断はもはや確立したものといえる。
 また、本判決は、専ら屋外作業に従事していた屋根工に対する関係でも国の責任を認めた。屋外作業の危険性を否定する国の誤りを明確に断罪するものである。
 本判決は、いわゆる「一人親方」について、労働安全衛生法の保護対象に含まれないとして救済を否定したものの、立法府の責任を問うことにより解決されるべき問題である旨判示した。

3.本判決は、主要なアスベスト建材企業である株式会社エーアンドエーマテリアルやニチアス株式会社、株式会社ノザワなど9社について、被害者23名との関係で共同不法行為責任を肯定し、同種訴訟で初めて企業の賠償責任を認めた。原告らの被害を正面から見据え、アスベストの危険性を知りながら、利益追求のため、安全であるかのようにアピールして製造・販売を続けた企業の加害責任を認めたものとして、高く評価できる。
 企業責任に真摯に向き合い、賠償を命じた本判決の判断は、本判決で責任が認められなかった原告らのみならず、全国の全ての同種アスベスト訴訟の原告らとの関係でも法的救済の可能性を大きく拓くものであり、極めて大きな意義を有する。

4.本判決は、被害救済に大きく足を踏み出す画期的な判決となった。原告らの「いのちあるうちに救済を」との願いは切実である。国及び建材企業は、本判決を真摯に受け止め、原告らに謝罪し速やかに賠償責任を果たすべきである。そして全ての建設アスベスト被害者が早期に救済されるよう、「建設作業従事者にかかる石綿被害者補償基金制度(仮称)」を創設すべきである。また、国と企業は、解体・改修工事等、建設現場でのアスベスト飛散を完全に防止するために万全の対策を行い、将来の被害発生を防止すべきである。 私達は、アスベスト被害者の完全救済とアスベスト被害の根絶のため、全国のアスベスト被害者、支援者、および市民と連帯して、今後も奮闘する決意である。(連合通信)

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