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2016年11月01日

経営者による〃逆ギレ訴訟〃も
首都圏青年ユニオン大会

ブラック企業との闘い

 首都圏青年ユニオンの大会が10月23日、都内で開かれ、働く者を法律を無視して使い捨てるブラック企業との闘いが相次いで報告された。最近は、団体交渉を申し入れると経営者が〃逆ギレ訴訟〃をぶつけてくるケースが出てきた。このほか、残業代不払いやパワハラに泣き寝入りせず是正を勝ち取ったとの発言には、代議員らが大きな拍手を送っていた。

▲新たな嫌がらせ手法

 東京都稲城市を中心に多店舗展開している理容室「メンズカット・リーダー」。男性組合員が不払い残業代などを求めて団体交渉を申し入れたところ、経営者は逆に組合員に対し「貸付金を一括して返せ」という裁判を提起してきたのだ。ユニオンは「社長は以前から給料の一部を積立金だといって勝手にプールしていて、そこから従業員が車を買うときなどにお金を渡したりしていた。元は従業員のお金。返す必要などない」という。組合に対する新たな嫌がらせの手法ではないかとみている。

 この男性は「18歳で九州から上京し、16年勤めた。給料明細も保険もタイムカードもなく、労働時間は1日15時間以上。月2回の休日にも練習や後輩の指導を強要された」という。店長になったり、結婚したりすると給料が上がるのではと期待したものの、全く上がらず月20万円弱のまま。見切りを付けて退職したと語った。「社長は従業員を奴隷か家畜のようにしか思っていなかったのではないか」

 その後、ユニオンに加入して未払い残業代を請求すると、逆ギレ訴訟をぶつけられたのだ。

▲警備会社も逆ギレ

 警備会社「SPDセキュリA」横浜支店で警備員をしていた男性も最近、逆ギレ訴訟に遭遇した。未払いだった深夜割増賃金を団交で請求したら、会社側から「債務不存在確認訴訟」を起こされたのだ。

▲100冊売れば正採用?

 前大会からの1年間で解決した争議は16件。当事者たちがその経験と思いについて語った。
 昨年大学院を出て零細の不動産会社に入社した男性は、研修期間を引き延ばされた。「社長が書いた本を100冊売れとか、100万円売り上げたら採用してやるとか言われた。労働法を全く知らない社長で、1回の団交で解決できた」と語った。院生時代からユニオンの組合員だったこともあり、冷静に対処できたという。「やりとりは全て録音したし、組合の仲間とも相談できた。それでも争議当事者になるには勇気がいった」

 現在も組合員として活動している。男性は「今の時代、もやもや感を抱いて働いている人は多い。そんな人たちに自分の経験を語りながら、組合で闘うことも選択肢の一つと伝え、仲間を増やしている」と述べた。

▲在職中は無知だった

 パチンコ店「オーシャン」で働いていたデザイナーの女性は、病気入院した翌日に解雇通告され、退職届を書かされた。労働審判で残業代は払わせたものの、パワハラは認められず、引き続き闘っている。

「在職中は、私が組合に入れるなんて知らなかった。組合は大企業にあるだけだと思っていたし、個人加盟労組があることも知らなかった。やりとりを録音する余裕もなかったし。自分のスタイルに合う組合を見つけて闘うこと。パワハラは絶対おかしいと世の中にもっと伝えたい」と述べた。

▲和菓子業界はブラック

 大手の和菓子屋で、工場長からパワハラと退職勧奨をうけた女性は、争議を解決して以前とは別の部署に復帰できた。今は、かつての労災隠し(足の骨折)を告発して労災を申請中。この業界についてこう語る。

「和菓子の世界は職人かたぎが通っていて、ブラックなところが多い。同じ専門学校の卒業生たちにも、うつなど病気の人が少なくない。(労働基準監督署は)業界への一斉手入れをした方がいい。菓子専門学校の教師を含め意識改革が必要だ」

▲「団交してよかった」

 最賃ギリギリで働いていた、組合員の男性が今年5月に団体交渉をした。賃上げが第一の要求だった。その結果、時給908円が930円にアップ(10月の最賃改定でさらに上がる予定)、月5千円の手当が1万円に引き上げられ、着替え時間10分の残業代も支払われることになった。10分でも2年分だと9万円になるという。男性は「団体交渉して本当によかった」と発言し、大きな拍手を浴びていた(連合通信) 

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