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2016年12月21日

労政審無視の立法化も可能に
厚労省の有識者会議

3者構成見直す報告書を発う

 労働政策審議会(労政審)のあり方を見直す厚生労働省の有識者会議が12月14日、報告書をまとめた。公益・労働・使用者がそれぞれ同数参加して労働政策を審議する労政審の下に、3者構成原則によらない「労働政策基本部会」(仮称)の新設を提言。労政審を通さずに法律の制定・改正ができるようにする方向も打ち出した(図)。

 労政審は国際労働機関(ILO)の条約に基づき公労使の委員で構成されている。7分科会と10部会も基本は3者同数。労働政策の立法・改正は労政審の議論を経ることで、労使の声を政策に反映させてきた。

 報告書は、個人請負など従来の労使の枠で捉えにくい働き方が増えてきたことや、中長期的な働き方の議論が不足していることを理由として、3者構成によらない「基本部会」を新設して対応することとした。

 一方、最低賃金や職業安定業務に関するルールや、労働時間、賃金、安全衛生など労使を直接縛るルールについては現行の3者同数での審議を維持する。ただし課題によっては、多様な意見や利害を反映させるため労使代表以外の「臨時委員」や「専門委員」を任命する考えだ。

▼労政審飛び越える道も

 労政審を通さずに立法化する道も示した。

 労働分野の法律制定・改定は必ず労政審での審議を経ることがこれまでの「慣行」だったが、「他の会議等から提言された課題については慣行を見直し、柔軟な対応を行う」と明記した。

 規制改革推進会議議長の大田弘子委員は「今回の報告書を歓迎する。労政審を通さないと法改正や立法ができないというのは慣行に過ぎないということが確認された」と指摘した。

 塩崎恭久厚生労働大臣は「規制改革会議や自由民主党からも労政審のあり方に問題提起があった。今回の報告書では、3者構成ではなく有識者が自由な立場で議論するという、労働政策決定プロセスの新機軸を打ち出した」と述べた。

「基本部会」は来年4月をめどに設置される。

労働時間把握義務の法定化を全労働が立法提言長時間労働の是正に向けて

 労働基準監督官をはじめ、労働行政に従事する職員でつくる全労働省労働組合(全労働)は12月14日、長時間労働の是正に向けた立法提言を発表した。政府が働き方改革を打ち出すなかで、真に実効性のある是正策が必要と訴えている。

 全労働が真っ先に挙げているのが、労働時間把握義務の法定化だ。労働基準法では、使用者による労働時間の把握が義務付けられていない。実際に監督官らからは「労働時間の記録がないため、違法な長時間労働や賃金不払い残業の取り締まりが困難」との声が上がっているという。いい加減な使用者の責任逃れを許してはならないと指摘。労働時間把握を使用者に指示している通達(2001年4月)を、罰則付きで法定化するよう求めている。

 違法労働致死傷罪の新設を提起したのも特徴。法定の上限時間に違反して働かせた結果、過労死や過労自殺を引き起こした企業の行為を処罰する規定だ。

 36協定に抜け道をつくっている特別条項や、商業や保健衛生業に週44時間制を適用している特例措置、自動車運転手らに限度基準を適用しない例外措置については、廃止すべきとした。

 取り締まりに当たる監督官の増員も強く求めている。国際労働機関(ILO)が定める配置基準(労働者1万人に1人)を大きく下回る現状の打開が不可欠と訴えている (連合通信) 

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