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2016年10月04日

誇大宣伝に底抜け規制
「働き方改革実現会議」

狙いは雇用の流動化

 政府は9月27日、「働き方改革実現会議」の初会合を開きました。「長時間労働の是正」「同一労働同一賃金」など過去には消極的だった政策を目玉に打ち出しています。しかし、聞こえてくるのは、「誇大広告」というべき代物や底抜け規制ばかり。本当の狙いは、「世界で一番企業が活躍しやすい国」にするための、究極の雇用流動化にあります。

 首相は九つのテーマのうち、特に、同一労働同一賃金の実現(非正規労働者の処遇改善)と、長時間労働の是正を強調しました。来年3月までに「実行計画」をまとめる予定です。

 非正規の処遇改善では、年内をめどに、どのくらいの格差ならば許されるかを示す「ガイドライン」を作成するとしています。裁判所が判断する際の根拠を示すという説明です。しかし裁判で大事なのは、不合理な格差かどうかの証明を、労働者と使用者のどちらに負わせるのかということ。現在の運用は労働者に立証責任があり、乏しい情報と裁判費用を考え、泣き寝入りせざるをえないのが実情です。欧州連合(EU)のように使用者に責任を負わせるべきですが、政府にその意思はありません。

 首相は最近、あちこちで「非正規という言葉をなくす」と発言しています。では、昨年の労働者派遣法改悪は一体何だったのか。非正規労働者を増やす法改悪を強行しながら、よく言えたものです。

 正社員の解雇を容易にする「解雇の金銭解決制導入」の検討も、この問題の改善に逆行しています。

 雇用労働者に占める非正規労働者の割合は、この約20年間で2割から4割に迫る勢い。そのほとんどの期間、政権を担ってきた自民・公明両党の責任こそ問い直すべきです。

▲〈規制はザル〉次々に生まれる例外

 青天井の残業を許している36(サブロク)協定のあり方の見直しも労働時間の上限規制の検討課題に入っています。

 問題はその中身。EUのように週48時間の労働時間上限規制を設けるなら大歓迎ですが、聞こえてくるのは、過労死認定基準並みの上限や、例外となる業種をふんだんに盛り込む「底抜け規制」ばかりです。

 また、労働時間規制に大穴を空ける労働基準法改正法案(継続審議中)も同時進行中。同案は、休日、深夜も働かせ放題の「高度プロフェッショナル制度(残業代ゼロ制度)」の導入と、長時間労働を招くため厳しく規制されている裁量労働制の営業職への拡大――を盛り込んでいます。

▲〈個人請負増やす〉保護されない働かせ方に 

 厚生労働省は8月、20年後の働き方を考えた有識者懇談会(座長・金丸恭文フューチャー株式会社会長兼社長)の報告書を発表しました。人工知能(AI)などの技術革新が進めば、プロジェクトの期間だけ企業に所属する働き方が広がり、「個人事業主と従業員の境がますます曖昧になる」と述べています。

 労働者保護規制が全く効かない働かせ方は、政府が進める「雇用流動化」の究極の姿。報告書はそのための仕組みづくりの「早急、かつ着実な実行」を求めています。

 安倍首相はかつて、「世界で一番企業が活躍しやすい国にする」と述べていました。この発言こそが「働き方改革」の最大の目的とみるべきでしょう。 (連合通信) 

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