京都府職員労働組合 -自治労連-  Home 情報ボックス 府政NOW 京の写真館 賃金 料理 大学の法人化



2016年11月08日

「過労死大国」の現状改善へ
厚労省の初の白書を読む

運輸業に多い長時間労働

 遺族もコラムを執筆
 ――悲惨な思い繰り返させな

 厚生労働省が初めて「過労死白書」を発表しました。実態と背景、防止対策の内容などが書かれています。過労死に特化した白書は国際的にも例がなく、「過労死大国日本」の現状を物語っているといえます。

 白書は、2014年に制定・施行された過労死防止法(過労死等防止対策推進法)に基づくもの。過労死をなくすには、現状と要因を調べる必要があるためです。多くのデータや統計数値が紹介されています。

  長時間働く人は運輸業に多いこと、病院や福祉施設ではストレスをため込みやすいこと、仕事量に対して人員が不足しているために残業せざるを得ないことなどを解説しています。

 行政が出す普通の白書と違うのは、過労死した労働者の遺族や認定闘争に取り組んでいる弁護士らのコラムを随所に載せていることです。「悲惨な思いをする遺族をこれ以上つくってはならないとの思い」(全国過労死を考える家族の会代表の寺西笑子さん)がつづられています。

 長時間労働の削減こそ
 ――本気で過労死ゼロめざせ

 行政は過労死防止に向けてどんな対応をしているのでしょうか。白書によると①過労死事案の分析②長時間労働削減などの啓発③相談窓口の設置過労死防止月間( 11 月)の設定⑤企業の労務担当者らへの研修⑥シンポジウムの開催――などが主な内容です。

 こうした対策はもちろん必要です。ただ、国として本気で過労死ゼロをめざすなら、まん延している長時間過密労働の削減に取り組むべきでしょう。残業時間に上限を設定するなど労基法による規制を強化し、労働基準監督官による違法状態の取り締まりを徹底することです。

 労働基準法を規制緩和し、「残業代ゼロ」をめざすホワイトカラー・エグゼンプション制などは論外。過労死ライン(月80時間以上の残業)での残業規制では何の役にも立ちません。労働法制と労働行政の抜本的な強化が不可欠です。(連合通信) 

府職労ニュースインデックスへ