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2016年12月08日

「生活苦しい者は声上げろ」
最賃1500円の実現求めキタスが新宿で街宣

ブラック企業を社会的に包囲しよう

 労働問題を軸に社会的正義の実現を求める若者のグループAEQUITAS(エキタス、ラテン語で「公正」の意味)が12月4日、東京のJR新宿駅周辺で最低賃金1500円を求めるデモを行い、約400人が参加した。

 最賃アップに加え、長時間労働の是正や富の再配分を訴えるプラカードを沿道に向けて示し、要求をアピールした。「保育士・介護士給料上げろ」「有給休暇は自由に取らせろ」など身近な問題を取り上げたコールは注目を集めた。

▲仕事に見合った賃金を

 デモ隊の先頭を行くサウンドカーからはスピーチが続いた。介護現場で管理職を勤める平野太一さんは「プロ意識と専門性に誇りをもって働いているのに、他産業より賃金が月10万円も低い。介護は人と関わる感情の労働で、ストレスをためてしまうことが多い。仕事の専門性ややりがいに見合った賃金が必要だ」と訴えた。
 アリさんマークの「引越社」との争議を行っているプレカリアートユニオンの清水直子委員長は「最低賃金1500円は夢物語ではないし、働く人の権利を守れというのはぜいたくではない。まともに働き生きていくために切実で現実的な要求だ」と呼び掛けた。

ブラック企業を社会的に包囲しよう/SNSも大きな武器に

 違法な働かせ方で従業員を使いつぶすブラック企業。就活生や若い世代にとっては特に関心の高い問題であり、「ブラック企業」のイメージは会社経営にダメージを与えるまでになっています。そうした中、ブラック企業との闘いや対抗策を、企業内だけでなく広く社会的に発信していく労働組合の取り組みが注目を集めています。

▲ブラック求人体験談3千件超

 「求人には正社員だと書いてあったが入社当日契約社員に」「アットホームな職場=会社がお前の家(という意味)」――連合が10月に行った「ホントにあった怖いブラック求人」キャンペーンに寄せられた声の一端です。SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を通じて募集した体験談は、25日間で3000件を超えました。

 組合に関わりのない人を含めアルバイトや派遣、契約など多様な雇用形態の労働者から寄せられました。「求人詐欺に遭っていてもその自覚がない人は多い。幅広い人が問題点を知り、関心を持ってほしい」(連合)。職業安定法見直しに向けた審議会の中でも、虚偽求人防止に向けた現場の声として直接紹介していくといいます。

▲「アリさん」との闘いが反響

 社会に大きな反響を呼んでいる争議もあります。「ブラック企業大賞2015」でWEB投票賞とアリ得ないで賞をダブル受賞したアリさんマークの「引越社関東」。現役社員の西村有さん(仮名)と、彼を支えるプレカリアートユニオンの闘いです。

 荷物や車両の事故を従業員に弁償させる同社の仕組みに疑問を持った西村さんは昨年3月、ユニオンに加入しました。すると会社は、営業社員として好成績を上げていたのに不当配転を繰り返し、「シュレッダー係」を命令。さらに突然懲戒解雇し、顔写真入りの「罪状」を全社に掲示しました。

 こうした人権侵害の違法行為に対し、西村さんとユニオンは裁判に訴え、救済を申し立て。さらに社前抗議を行うユニオンに会社役員らがどう喝した動画をウェブで公開し、ボイコットキャンペーンやネット署名などを展開しました。「どう喝動画」は話題を呼び、現在までに約220万回再生される一方、会社の売り上げは大幅に落ち込んでいるといわれます。

 ユニオンの清水直子委員長は「労働者の搾取による安い引っ越し料金の設定は業界全体の値崩れを招いています。こうした社会的問題を正すには、消費者や取引先を巻き込んだ闘いが重要」と指摘。その上でこれからの展望についてこう述べます。

 「ブラックな職場を変えるためには、闘う道具=権利を使い、一緒に取り組む仲間が大事です。その道筋をつくることができるのが労働組合。私たちの姿を見て多くの人が『ブラック企業と闘えるんだ』と、一歩を踏み出してもらえればと思います」 (連合通信) 

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