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2016年08月02日

組織と運動で反転攻勢へ
全労連大会

「暴走政治」阻止の共同を重視

 全労連は7月28日から3日間、都内で第28回大会を開いた。決定した向こう2年間の運動方針は、明文改憲に突き進む安倍政権の退陣に向け、市民と野党の共同を一層前進させる必要があると指摘。そのためには、全労連の社会的影響力強化が不可欠とし、新たな「組織拡大4か年計画」を策定した。組合員拡大を最重要課題とし、予算を重点配分することも決めた。

▼闘争を対抗軸に

 運動方針は、安倍政権の暴走に対して広範な市民と野党の共同が広がってきた状況を紹介し、参議院選挙を含め全労連がその一翼を担ってきたことを確認しつつ、具体的な方向を提起している。

 ポイントは、(1)4か年計画を柱に組織拡大強化を追求する活動スタイルの確立(2)安倍政治による矛盾が集中する地域で暮らしと雇用を守る共同の前進(3)戦争法廃止と安倍政権の退陣――である。

 暮らしを守る課題では、格差と貧困を拡大する「アベノミクス」への対抗軸として、賃金底上げ・最賃闘争を位置付けた。「全国最賃アクションプラン」も決定し、全国一律最賃制確立への法改正や、時給1500円実現の合意と運動づくり、中小企業支援の抜本的強化などをめざす。

▼組織拡大の新計画策定

 全労連の組織人数は、1998年の153万人をピークに約3割減少。このため組織拡大が運動面でも財政面でも「待ったなし」の緊急課題との位置付けだ。

 4か年計画は、要求実現と日常活動の活性化を進めながら、独自に拡大を追求する体制づくりを重視。全労連の責任の下、各県で単産と地方が連携する形を整える。職場段階では、10人に1人程度を目安に組織建設委員を配置する。

 数値目標として、16年度には減少傾向に歯止めをかけ、その後全ての組織が毎年1割増を達成し、4年間で150万人達成を掲げている。

 井上久事務局長は総括答弁で「市民と野党の共同が前進するなか、運動に手応えを感じている。反転攻勢への機は熟しており、要求実現と組織拡大の飛躍は可能だ」と訴えた。

選挙闘争のあり方論議を小田川議長あいさつ

 全労連の小田川義和議長は大会初日の7月28日、あいさつの中で全労連としての政治闘争、特に選挙闘争のあり方について論議していく必要があると述べた。

 小田川議長は、昨年夏の戦争法(安保関連法)強行以降の運動の広がりに触れながら、「市民の共同も野党の共闘も、平和、立憲主義、民主主義の危機を共有したもの。安倍暴走政治に対し、主権者の立場で、憲法擁護の一致点での統一戦線的な動きとなってきている。状況は一気に進んできた」と指摘。

 その上で、全労連としての政治・選挙闘争のあり方を論議するよう求めた。従来は、特定政党を支持しないことが基本方針だったが、今回の参院選挙では、野党統一候補を支援した。民進党の公認候補であっても支援・応援しており、組織内に戸惑いが生まれたのも事実。一層の野党共闘が追求される次の衆院選挙にどんな方針で臨むのかが大きな課題になってきたという認識だ。
市民の怒りを実感参院選の取り組みなどを交流

 討論では、先の参院選について、県労連を中心に労働組合として初めて国政選挙に臨んだ経験などが語られた。
 青森県労連は「民進党公認候補を推薦した。たまたま民進党だったわけで、野党統一候補をどう勝たせるかが問われた選挙。6人いた県選出国会議員は全て自民党。その一角を崩すことができた。衆院選では自民との一騎打ちになる。そのときに『闘うナショナルセンター』が後方に引いていていいのか、野党統一のなかでそのありようについてさらに議論を」と求めた。

▼予想以上の共闘効果

 同じく民進党公認候補を推薦し、大差で自民候補に勝利した山形では、「予想以上の共闘効果が発揮された」。県労連として候補者と直接関係をつくり、政策協定を締結して独自の「選対」を設置したという。その上で「労組の選挙闘争をもっと深めること。社会的影響力の観点を貫く必要がある」と訴えた。

 岩手も「(国政選挙で)初めて推薦して戦った」と切り出し、現在は「当選した議員との懇談が始まっており、継続的なつながりが必要だ」という。次の衆院選や参院選で組合がどう取り組むのかについて、「『連合政府』に全労連がどうかかわるのかを含めた深い議論」を求めた。

 自民候補に勝利した長野選挙区。野党統一候補が民進党公認だったことに県労連は組織内をまとめるのに苦労したという。「市民の共同と怒りが野党共闘の基礎。戦争法廃止を求める2000万署名が大きな力となり、変化をつくりだしたのは間違いない。地域では暮らしや雇用の課題で安倍批判が広がっており、国民的共同のチャンスだ。青年やママたちに労働運動が遅れを取ってはならない」と強調した。

 兵庫は、自治労や日教組が参加している「1000人委員会」と一緒に憲法集会を開催した経験を報告。「かつては考えられなかったこと」と述べた。選挙後もこうした枠組みを続けていることを紹介し、「暮らしの問題でも共同が必要ではないか」と語った。

 当選には至らなかったものの、福井からも選挙を通じて運動の広がりを実感したとの報告があった。「統一候補は連合の事務局長。市民の要求で戦争法廃止を公約し、当初ギクシャクしていた関係も、最終的には団体間の垣根を越えた運動の広がりをつくれた」。

▼日常活動の弱さも

 野党統一候補への支持決議は上げたものの、あまり取り組めなかったと述べたのは岡山県労会議。

「労働組合としてこれまで政治活動を避けてきた経緯もある。特に公務員は困難な状況にある」とした上でこう述べた。「労働運動として野党共闘を追求するなら、政治とはなにか、暮らしとの関係はどうかなど掘り下げねばならない。組合員に(支持を)呼び掛けるだけでは不十分。躊躇(ちゅうちょ)している組合員を放置することになってしまった」

 愛媛では、野党統一候補が自民党に競り負けた。県労連は「労働組合の日常活動の弱さ、地域での要求闘争の弱さがあったと思う。職場には野党共闘ありきへの戸惑いや戦争法反対への疑問もあった。これから総括していく」と述べた。

▼組織拡大も焦点に

 自民党の現職閣僚を落選させた沖縄は、米軍辺野古基地建設や高江のヘリパッド建設などを民意無視の攻撃と報告しながらこう述べた。「沖縄支援という言葉はやめてほしい。これは日本共通の課題と位置付けること。ともに明るい日本社会を築いていこう」

 組織拡大でも多くの発言があった。「学習を力に青年が青年を増やし始めている」(全教)、「労働学校を卒業した組合員が拡大でがんばり、役員にも就任」(埼玉)、「青年がイベントを企画し、ていねいな対話を心がけている。普通に働く組合員誰もが楽しみながら組織拡大している」(岐阜)、「8年連続で純増」(医労連)などである。

 未組織・非正規労働者の組織化に向けて、「最賃、公契約、均等待遇など社会的賃上げに取り組む労働運動への転換が重要」(神奈川)との発言もあった。

「非正規センターの全県設置を」(生協労連)との要望や、「大阪維新の会による組合つぶしとの闘い」(大阪)も報告された。

 大会では、労働相談ホットラインの通話料金有料化(来年2月実施予定)を検討している幹事会の見解が示されたことで、京都や神奈川など地方から反対意見が続出。「未組織労働者にとって、くもの糸的な役割を果たしているものだ」(神奈川)といった声が上がった。井上事務局長は「私自身、じくじたる思いだ」と語りつつ、財政事情から本部での通話料金全額負担の厳しさを強調、「秋にていねいな議論をする」とし、12月幹事会、来年1月の評議員会で討議することを約束した。(連合通信) 

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