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2016年04月11日

偽の書類にサイン強要か
テンプへの出向同意書

「ワーナー」社員男性が告発

 「自分の就職先を探す」との業務命令で人材会社に出向させ、社員を退職に追い込む手法が広がっている。音楽業界大手の「ワーナーミュージックジャパン」の50代男性社員は、8回におよぶ退職勧奨を受けた後、人材会社への出向に同意する偽の書類にサインさせられそうになった。そこから浮かび上がるのは、人材会社にリストラを丸投げする企業の姿だ。

▲会社への貢献も無視

 男性は新卒で同社に入社し、制作現場で著名なミュージシャンを担当。多くのヒット作品を手掛けるなど業績をあげ、数年前から管理部門を任されていた。 ところが会社は昨年夏、「所属部署の外注化」を理由に退職勧奨を始め、勤続30年に及ぶ男性もターゲットにされた。
 7月からの2カ月間で退職勧奨は8回に上った。面談は毎回長時間に及び、「清掃会社への出向になり、賃金が大幅に減るかもしれない」などと脅しのようなことを言われたが、男性は退職するつもりがないことを会社に伝え続けた。

▲最後は人材会社へ

 リストラの手口に特に疑問を感じたのは、9月に会社から渡された一枚の書類だった。「個人情報なので自筆で記入してほしい」と指示された「出向先開拓支援申込書」は、人材会社テンプスタッフに「出向先支援サービス」を申し込む内容で「退職予定日」の記入欄があった【写真1】。出向なのに「退職」というのも妙だが、「裏面を必ず確認、同意の上、申し込みをしてください」とあるのに裏面は白紙。書類の不備と退職・出向を希望していないと伝えると会社は「間違いです」と一旦取り下げた。
 8日後、修正された書類への記入命令を受けた。「退職予定日」の欄が消え、タイトルは「個人情報開示許諾書」に変わっていた。裏面への記載もあったが、裏面をよく読むと「当社へご提出いただきます『再就職支援申込書』に…」と書かれていた【写真2】。本当はこの書類は再就職支援のためのものではないか、タイトルを偽造してサインを迫っているのではないかと思い、会社にその不一致を指摘すると、書類は提出しなくて良いと言われた。

▲誰が偽造したのか?

 当初は多くいた退職勧奨対象の同僚は次々職場を去り、残るのは男性を含めて2人だけに。会社側の対応に「ここまでやるのか」と危機感を強めた男性は弁護士を通じ10月に「東京管理職ユニオン」に加入。団体交渉で書類の件をただすと、会社は「2回ともテンプスタッフが間違えた書類を寄こし、そのまま使用してしまった」と主張した。 にわかに信じがたい話だが、仮に会社の主張通りだとすれば、人材会社から渡された書類をチェックもせずにそのまま使用していたことになる。リストラを丸投げしていると自ら認めているようなものだ。
 ユニオンの鈴木剛委員長は「日本は業務命令の権限が強く、背けば懲戒処分を受ける恐れがある。それを悪用し、出向命令などの形で企業のリストラに人材会社が関わるケースが広がっている」と指摘する。
 男性は現在「出向待機」の状態だ。「特に書類偽造の件は許せない」と声を上げた思いを語る。今後もユニオンを通じ会社と交渉を続けていくという。(連合通信) 

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