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2016年07月26日

「希望者すべて無期転換を」
東北大学雇い止め問題

学者ら84人がアピール

 非正規職員3000人以上を雇い止めする意向を表明した東北大学に対し、批判の声が全国に広がっている。7月20日には法学者や弁護士など84人が、雇い止め通告の撤回を求めるアピールを公表。一律5年上限の雇い止めについて、「(雇用安定のための無期転換を定めた)改正労働契約法の趣旨と全く違う行為」と厳しく批判している。

 同法では2018年4月以降、同じ使用者のもとで5年超働く見込みの有期契約労働者が希望すれば、無期雇用に転換できると定めている。ところが東北大学は、非正規職員の契約更新の上限を一律5年以内とするよう就業規則を変更した。無期転換権が発生する前に雇い止めしようとする脱法的な行為とみられる(7月16日付で既報)。

 アピールは、就業規則の変更が非正規労働者の意見を反映せず、一方的に行われた経過を紹介。無期転換者を選考して絞り込むという大学側の方針について「無期転換に条件をつけるのは違法」と批判した。

 雇い止め通告は雇用不安を招き、震災復興を妨げると指摘。全国に大きな影響を与える東北大学が、労働契約法の趣旨を尊重し、雇い止め通告の撤回と希望者全員の無期転換を認めるよう求めている。

▼〈関係者のコメント〉呼びかけ人の中村和雄弁護士

 私の母校でもある東北大学の行為は、雇用を安定化させるという労働契約法18条の立法趣旨を真っ向からないがしろにするもの。

 今いる非正規職員の無期転換を回避するために、就業規則に新たに不更新条項をつくる今回のような行為は違法であり無効。これは経団連の顧問弁護士や裁判官も明確に述べており、法曹実務界でははっきりしている。

 東北大学にも労働法の教員はいるはずだ。なるべく早く反省して、雇い止め通告を撤回してもらいたい。

▼東北非正規教職員組合の佐藤完治さん

 東北大学の学内で非正規職員と対話すると、十分に情報を知らされていないため「仕方がない」とあきらめている人がけっこう多い。そういう方に団体交渉の結果や状況を説明したチラシなどを渡すと、食い入るように見る人がいる。そうした(事実を知らせる)ことが私たちの役割の一つだ。

 現場の非正規職員からは「違法なやり方で生存が脅かされている」といった声も寄せられている。雇い止め通告撤回の大きな世論を作っていくことで、希望者全員の無期転換を実現するとともに、東北大学以外でもこのようなことが起きないよう注視していく。

▼首都圏大学非常勤講師組合の志田昇書記長

 非常勤講師に対する雇用上限については、これまでの運動でほぼすべての大学で撤廃させることができたが、職員に関しては多くの大学で雇用上限がある。

 いま(世の中は)無期転換へ大きく動いている。日本郵政は1年半前倒しで20万人の無期転換を決めた。生協でも既に3万人以上が無期転換やその方針が表明されている。

 ところが社会の模範となるべき大学で職員を無期転換せずにクビにしようとしている。社会の進む方向に逆行する行為だ。これを撤回させ、東北大学を起点に無期転換の大運動をつくっていきたい。 (連合通信) 

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