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不祥事続きの経営者退陣へ |
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札幌の社会福祉法人で声上げ |
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札幌市にある社会福祉法人で、不適切な役員報酬など不祥事続きの経営を改善しようと、昨年秋に労働組合が結成され、このほどついに理事長を退陣に追い込んだ。北海道庁から4度も改善命令を受ける異常事態。「尊厳ある介護」を担える職場へ、職員らが勇気を持って立ち上がった。 職員からレッドカードを突きつけられたのは、札幌市で特別養護老人ホームなどを運営する札幌恵友会の経営陣。昨年11月、ここに札幌地域労組の支部が約70人で発足した。 職員の怒りの矛先は、介護事業をおろそかにする不正常な経営にあった。贈賄、不適切な金銭貸借、規定に基づかない役員報酬など、過去3度も道庁から改善命令があったのを受け、3月29日には「財務状況の一層の悪化」で4度目の改善命令を受けた。直近5年間での改善命令は同法人だけ(北海道庁)だという。 組合によると、社会保険料納付にも困る財政難なのに、理事長は業界相場を上回る約1000万円もの報酬を受け取り、職員には賃下げを強いた。こうした経営で、ある施設では1年で半数近くが退職するなど人手不足が深刻に。日々の入浴介助にも支障をきたし、夜勤業務が月10回以上に上る職員もいるなど、現場は悲鳴をあげていた。 ▼施設長らも味方に 組合結成の直後、施設長や課長らが約10人で管理職組合を結成。頼もしい援軍が加わった。 地域労組の鈴木一副委員長は「普通なら使用者側の席に座るはずの人たちがこちら側に来て、一緒に団交を行った。彼らは社会福祉のプロ。鋭い指摘に、法人側弁護士もタジタジになっていた」と頬を緩める。 交渉は身近にある設備を使い工夫を凝らした。50人ほど入れるデイサービス施設を会場に使用。余興用のカラオケセットを音響に使い、丁々発止の交渉の一部始終を職員らに見せた。 団交での経営陣の発言から、十分な介護ができない現場の実状に対する関心の低さが浮き彫りになり、組合員らの怒りが爆発。退陣を迫るようになった。 組合結成当初は、専務理事が業務時間中に組合員を呼びつけ、脱退をほのめかす不当労働行為が公然と行われていた。それが労使の力関係は劇的に変化し、通勤手当減額の撤回や、仮眠時間を確保できない場合の残業代支給、パワハラを告発したパート職員3人に対する雇い止めの撤回――など数々の成果を獲得している。組合員数も半年間で140人に倍増した。 ▼争議行為構え退陣迫る 改善命令を受けた直後の4月1日、団交では組合員の怒りの声が響いた。「理事長、専務理事、理事、監事、あなたたちが辞めるのが一日遅れたらそれだけ正常化が遅れる。ただちに退陣し、新しい体制で正常化させなければならない」 法人側の煮え切らない対応に、組合はストや組合旗掲揚など争議行為を予告して退陣を迫り、18日の団交直後、ついに理事長と専務理事が辞任を表明した。一応の決着をみたが、経営刷新は道半ば。鈴木副委員長は「行政主導で新しい理事会を編成させ、法人の健全化をめざす」と話す。 介護保険制度発足から16年。介護業界への参入は容易になったが、質の良くない事業者の参入にも道を開いた。同労組の奮闘は、そうした職場で労組がチェック機能を果たすことの大切さを示している。(連合通信) |
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