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2016年05月30日

安全、団結権など諸権利が脅かされる
安保法反対で労組が結集・労働弁護団主催

「労働力売っても命は売らない」

 日本労働弁護団が5月24日に開催した安保法制に反対する集会には、上部団体の違いを超えて労働組合が結集した。労働運動の立場から安保法制に反対する集会は今回が初めて。同弁護団の宮里邦雄元会長は「安保法が発動されれば、労働者の生命や身体の安全、団結権など諸権利が脅かされる。安保法制を労働者の身近な問題として捉えたい」と訴えた。集会では港湾、マスコミ、物流、鉄道、航空、医療、教職員、基地、国家公務員それぞれの労組から安保法廃止への決意が述べられた。

命は売らない全駐留軍労働組合の紺谷智弘書記長

 全国8つの在日米軍基地で働く1万5000人を組織している。雇用主は防衛省で、同省は在日米軍と労務提供契約を締結。そこでは海外での労務提供は想定されていない。しかし90年の湾岸戦争当時、横須賀基地に勤務する労働者数人が中東のバーレーンに派遣されそうになり、「労働力は売っても命までは売らない」と組合がストライキを設定し派遣を阻止した。

 憲法解釈すら曲げる現政権は、日米間政府取り決めを変えて紛争地派遣を認める恐れが強い。基地労働者の生命と雇用を守るため、安保法廃止に向け闘う。

職場守るのが労働組合日本マスコミ文化情報労組会議の新崎盛吾議長

 高市早苗総務相の「電波停止」発言と相次ぐキャスターの降板、沖縄2紙を「廃刊にせよ」という発言など、報道の自由を歪める事態が続いている。

 特定秘密保護法は、取材する側以上に取材先の委縮効果が絶大だ。役所内から取れるはずの情報が流れてこない、これまで懇意にしていた取材相手が「新聞記者と接触するとまずい」と付き合わなくなるといった事例が、既に全国から報告されている。
 現場で、記者たちは上からの圧力のなかで闘っている。それを守っていくのが労働組合だ。

職場からの闘いを全日本建設運輸連帯労働組合の小谷野毅書記長

 戦争に加担せず、それを阻止するのが労働組合の歴史的使命という方針で取り組んでいる。2003年のイラク侵略戦争時のストライキ、昨年9月には全国60カ所余りで時限ストを実施し、職場で体を張って闘っている。

 労働の形態が個別化されて非正規雇用が増え、職場からの社会運動がだんだんやりにくくなっている。こういう時こそ産別やナショナルセンターの垣根を超えて、労働組合が先頭にたって現場での行動を盛り上げていきたい。

公共交通脅かす戦争法国鉄労働組合の唐澤武臣書記長

 イラク戦争時に米英を支持したスペインやフランスでは、公共交通機関で自爆テロが発生し、多くの市民が犠牲になった。戦争法が発動されれば、自衛隊は米軍とともに海外に行き、相手国から銃を向けられることになる。地球の裏側で起きていた事件が私たちの身近に迫っている。 国労はベトナム戦争時に米軍の軍事輸送をストップさせた経験がある。鉄道労働者として、公共交通である職場と安全輸送を守り、市民の命と平和を守るために戦争法発動阻止へ全力をあげていく。

組合員は平和求めている全国港湾の松本耕三副委員長
 
 労働組合員は戦争や平和の問題に関心がないのだろうか。決してそうではない。むしろ私たち幹部役員が「組合員(の関心事)は賃金と労働条件だけ」と錯覚しているのではないか。

 全国港湾は昨年8月下旬の1週間、全国の港で戦争法反対全国一斉抗議集会を開催。10月からは辺野古基地建設反対を訴えるため代表団を現地に送ってきた。戦争法は、戦争し続ける国アメリカと本格的な軍事同盟を結ぶ大変危険なものだ。安倍政権のもくろみを何としてもはね返す。

平和は労使の願い航空労組連絡会の和波宏明事務局次長

「航空は平和が前提」というのは、労働者だけでなく使用者も同じ認識だ。1960年代から80年代にかけて、米国を代表する航空会社の一つパンナムはテロやハイジャックの標的とされ、破綻に追い込まれた。

 航空産業は日本だけが平和では成り立たない。2014年7月にはマレーシア航空機がウクライナ上空で撃墜されるなど、世界のどこで紛争が起きても航空産業はリスクを負う。 

 90年代以降、民間航空を指定公共団体として軍事利用(の枠に)に組み込み、米軍に日本の空港を優先利用させる法整備が進められている。組合は争議権を立てて反対し続けている。

命守る仕事のために日本医労連の三浦宜子書記長
 
 先の大戦に医療労働者は動員された。その数は日赤だけでも3万人以上。二度と戦争に協力しないという痛切な思いがある。2003年と04年に強行された有事法制で動員体制が既に作られている。今回の安保法制で、それが発動され海外まで動員される事態が迫っている。防衛省は「有事緊急救命処置」などの検討を始めた。戦時医療体制は平時の医療にも大きく影響するだろう。

 医療・介護・福祉労働者は命を守り、人が人として生きていくことを支える仕事。戦争はそれと真っ向から対立する。歴史の逆行は許さない。

教え子戦死させない神奈川県高等学校教職員組合の成田恭子副委員長

 神奈川の教職員の仲間は毎月2回、長時間労働のなかで安保法制への抗議行動を続けている。そこには、全国の教職員組合が掲げる「教え子を再び戦争に送るな」という思いがある。そのスローガンのもとになったのは、高知の教員、竹本源治氏(故人)の「戦死せる教え児よ」という詩だ。

「……涙をはらって君の墓標に誓う『繰り返さぬぞ絶対に!』」

 安倍政権による道徳教育(押し付け)や教育委員会の改悪を許さず、子どもたちの心の自由を守ることも、教え子を戦争に送らない取り組みにつながっている。

命と財産の動員許さぬ国公労連・国土交通労働組合の河和宏副委員長

 先の大戦で日本が保有する船の8割が沈められた。輸送事業者は真っ先に戦争に加担させられる。有事法制が発動すれば、国内の飛行場は全て自衛隊の指揮下に置かれ、そこから軍用機が離発着する。さらに国内輸送事業者の大半が指定公共機関とされ、航空会社などで働く労働者は真っ先に協力を迫られるだろう。

 有事の際は国が情報を制限することも可能だ。気象庁は戦時中、大災害の情報を国民に隠し続けた事実がある。人工衛星を使った地図情報もコントロールされる危険がある。(連合通信) 

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