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2016年08月02日

21~25円の引き上げに
地域別最低賃金改定の目安

地域間格差はさらに拡大

 地域別最低賃金の引き上げ幅の目安額が7月26日深夜、固まった。各ランクごとの上げ幅は21~25円で、全国加重平均は24円。ともに現行表示方式となった2002年以降最大だ。「1億総活躍プラン」が掲げる3%の引き上げとなったが、低すぎる最賃の改善、先進国水準への到達には遠い。地域間格差はさらに広がることになる。

 中央最低賃金審議会の目安小委員会が同日付けで、公益委員見解に基づく報告書をまとめた。

 審議で、使用者側は名目GDP成長率が3%を下回ることや、最賃決定の考慮要素である「支払い能力」を踏まえ、零細事業所の今春の賃金上昇率データ(第4表)に基づくよう主張。労働側は「全国最低800円、全国平均1000円」へ早期に道筋を示すことと、2~3年での到達を求めた。労使ともに公益見解に「不満」を表明しつつ了承し、決着した。

 現行表示方式では過去最大の上げ幅だが、仮にこのペースで進んだとしても全国最低800円にはあと4年、全国平均1000円は7年かかる計算だ。

 目安通りに引き上げられれば、最低額は714円、最高額932円、その格差は最大218円となる。

 28日に塩崎厚労相に答申する予定。その後、都道府県ごとの地方最賃審で引き上げ額を決める。

制度的矛盾は明らか全労連が最賃目安で談話

 全労連は7月27日、地域別最低賃金の目安額について談話を発表した。全国加重平均24円は、時給表示となって以降の最高額とはいえ、「ワーキングプアや実質賃金の低下による消費低迷が大きな問題となるなかでは、不十分」と指摘。全国平均1000円の到達に7年かかることについて「あまりにも遅々とした引き上げ」とした。

 A~Dランク間の格差が218円に広がる点について「若者などの地方からの流出が続くことは明らか」と批判した。

 全労連の「最低生計費試算調査」によれば、全国どこでも月22~24万円(時給1500円程度)が必要であり、「現行制度の限界が鮮明になった」と指摘。今後の地方での審議会では特にC、Dランク県の格差是正にむけ、目安を上回る改定を強く求めていくとした。

首長が大幅引き上げ求める湖西市の三上市長/静岡地方最賃審に意見書

 2016年度の地域別最低賃金改定で過去最高の平均24円の目安が示されるなか、大幅引き上げへの英断を求めている自治体首長がいる。愛知県と県境を接する静岡県湖西市の三上元市長が8月1日、静岡県庁内で、労働団体の静岡県評と共に会見を行い、静岡地方最低賃金審議会に意見書を提出したと報告した。(湖西市の三上市長(左から2人目)は元経営コンサルタントの立場から、「生産性を上げてからではなく、最賃を上げて生産性を上げるべき」と語った。8月1日、静岡県庁で )

 三上市長はこの日までの地方最賃審を傍聴した際に感じた疑念を次のように語った。

「(審議会は)国内の経済動向しか見ていない。現在の水準が正しいという前提ならば、微修正でいいということにもなるが、今は日本と米国の最賃が世界でも低すぎることが問題になっている。その米国では、民主党のヒラリー・クリントン大統領候補が5~6年で現在の倍の時給15ドル(約1500円)への引き上げを公約している。年間20%の引き上げが必要となる水準だ。かたや日本は3%でしかない」

 静岡はAランクの神奈川と愛知に挟まれ、最賃は37~122円の格差がある。県外への人口流出は全国ワーストクラスだ。

 同市長は県民一人あたり所得が全国3位の静岡は最賃もそうあるべきと述べた上で、「湖西市は昼の人口が夜より1万人多い。豊橋市など愛知県から移り住んでくれない。夫は1時間かけて通勤するが、妻は近所のパートで働くため、時給の高い地域に住むことになる。県境の自治体は隣県並みに最賃を上げてくれないと人口流出は止まらない」と語った。(連合通信) 

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