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2016年08月29日

働き学ぶ生徒たちとともに
〈働く・最前線からの告発〉

ジャーナリスト 東海林智

 ともに学び生きる定通教育――。
 全日本教職員組合(全教)の定時制、通信制高校の部会(定通部)が、毎年夏に開催する全国交流集会には前述のスローガンが掲げられている。定通教育と働くことは密接なつながりがあることから、2009年にゲストスピーカーとして参加を求められたことをきっかけに、参加を重ねている。今年も8月5日から3日間の日程でさいたま市で開催され、その一部に参加した。

▼仕事はつらいけど

 交流集会の特徴は、組合員の教師だけではなく、現役生徒、卒業生、父母らも参加して、一緒に集会を作るところだ。定通に関わる教員のレポート発表に加え、現役生徒の生の思いや父母の気持ちの表明などがあって、集会を立体的なものにしている。定時制・通信制が本当にともに学び、ともに生きる場であるということが腹の底から理解できる。そんな場をより良くしよう、守ろうと100人以上が集まる集会には頭が下がる思いだ。

 今年の集会で男子高校生は、こんな働き方を報告した。朝9時から午後4時過ぎまでファストフード店で働き、その後学校へ。学校が終わったら回転寿司チェーン店での後片付けの仕事を午前1時までする。これで学費や自分の小遣いを賄っている。

 司会者に「そんなに働いて体は大丈夫なの?」と問われると、「若くても疲れる。朝は少しつらい。けれど学校に行って学ぶのと働くのが一緒の生活習慣になり、つらさも薄れてきた」と笑った。

 また、別の男子は、平日はうどん店のキッチンで働き、土日は古紙回収のアルバイトをしていると話した。両方合わせて14万円程度の収入だという。二人の男子生徒に限らず、集会に参加した生徒はみな懸命に働いていた。働くことが学ぶことを支えるという定時制、通信制のありようが浮かんでいた。

▼定時制を切り捨てるな

 集会に参加した多くの生徒が、中学時代にいじめに遭ったり、不登校や引きこもり、家庭の貧困などそれぞれが厳しい事情を抱えていた。それでも学ぶことを諦めず、定通という居場所に出会い、それを離さずに、学びと働くことを誇らしく語った。

 司会者はつらい思いをしてきた生徒たちに「人生をリセットしたいですか?」と尋ねた。ほとんどの生徒は「リセットしたくない」と答えた。ある女生徒は「リセットしたらつらいことを乗り越えてきた自分も忘れてしまう。つらい過去があったから今の自分がある」と説明した。

 いつでも学び直しができる場であり、居場所でもある定通。そんな場を必要とする彼ら彼女らはこれからもおそらく絶えることはない。

 だが、特に定時制は効率化の名の下に全国的に切り捨てられようとしている。学ぶことが働くことへつながっていくことは彼らの経験からも明らかだ。学ぶ場を切り捨てることがどんなに危険なことなのか。私たちはもう一度考える必要がある。(連合通信) 

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