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日本の労働運動への挑戦だ |
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企業買収のTCSグループ |
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![]() ▼「労働組合破壊宣言だ」 TCSが傘下に収めたのは2014年。同社にはJAM加盟の組合があり、いま全面対決の労働争議に発展している。 同年秋には、赤字予想という事実とは異なる理由で一時金減額を提案し、反発する組合に「不支給」を宣言。労働基準監督署から勧告が出されてようやく支払った経緯がある。 15年には一時金への査定評価導入を提案し、「100日争議」に発展した。提案は、査定幅が36~164%で、本来支給されるべき金額以上を得られる人はわずか1割という過酷な内容だった。組合は徹夜団交を重ね、一定の譲歩を引き出して妥結したが、副委員長、書記長は最低評価を付けられ、その年の冬の一時金を減額された。 組合は相次ぐ攻撃を受けながらも、24時間ストを行うなど負けてはいない。予想外の抵抗に業を煮やしたのか、会社側は昨年末、組合活動そのものに牙をむいてきた。ユニオン・ショップ条項の破棄をはじめ、便宜供与の廃止、スト破り禁止規定の緩和などを打ち出したのである。組合は「労働組合の破壊を宣言しているのと同じだ」と強く反発。さらに、会社側は4月、労働協約を7月に破棄すると通告してきた。 昨年末には、経営の重大な変更については組合の事前同意を必要とする現行の労働協約に反して、持ち株会社を設立した。今年の新入社員の採用は全て持ち株会社で行い、そこから出向させている。組合員を絶対に増やさせないという構えである。 5月19日、組合は大阪府労委に不当労働行為の救済を申し立てた。協約の期限を迎える7月を見据え、解約無効の実効確保も検討している。既に、争議行為に突入。組合旗を掲揚しながらの業務に入っている。 ■事業そっちのけの異常さ 「TCSのようなブラック企業対策は組合の存亡に関わること。一大きく社会に訴える必要がある。われわれ労組がどう対応するかは喫緊の課題。参院選の取り組みと同じレベルの対応をすべき」。5月24日、都内で開かれたJAMの中央委員会で、「東京千葉」の委員が産別本部に注文を付けた。当事者ではない委員からこうした強い要望が出されるのは異例だ。 TCSの組合つぶしは苛烈を極める。組合員や組合役員を狙い撃ちにした賃下げ、一時金の不支給を含む大幅ダウン、他社への長期出向と、荒っぽい。労働委員会の救済命令、組合勝訴判決が出ても、同じことを繰り返し、組合が疲へいするまで続く。 団体交渉には応じても、労使関係は築かせない。栄敏彦・全国オルグは「会社の交渉担当者には決定権がなく、持ち帰るばかり。解決の方向で進んでもちゃぶ台返しはざら。グループ創業者が全てを決めているようだが、団体交渉には一切出てこない」と語る。 食いつかれたら最後、職場も組合も社員の人生までもが危機にさらされる。残念ながら現行法では特効薬はない。 JAM加盟組合のある企業では、セコニック(東証二部)、明治機械(東証二部)、テクノセブン(ジャスダック)が同様の手口で切り崩され、苦戦を強いられている。旧UIゼンセン同盟の組合があった武藤工業(東証一部)では、健闘むなしく組合が消滅した。 ▼突きつけられた課題 労使関係が荒れれば、普通は社員の意欲が削がれ、職場は荒廃し、生産性は低下する。優秀な人材の流出も懸念される。JAM大阪の役員は「リニア建設などコンベヤー需要が多い大事な時期に会社(TCS)は何をやっているのか」とあきれ顔だ。 同社は、最も関心を示すべき事業の動向には無頓着。買収先企業の転売を狙うのでもない。「一体何がしたいのか。上場企業の看板が欲しいのか」と関係者らは一様に首を傾げる。 創業者は70年代初めから一代でグループを築いた人物。事業拡張への意欲は今も強いというが、その企業支配のありようは「日本の労働運動への挑戦」と言わざるをえない。(連合通信) |
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