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2016年08月08日

「奴隷労働」生む背景にメスを
外国人技能実習生問題

全労連などが告発・提言

 「残業は月150時間で時給400円」――岐阜県の縫製工場で働く外国人技能実習生から劣悪な労働実態の訴えが相次いでいる。背景に浮かび上がるのは、衣類の低価格競争のもとで切り下げられた下請け単価が、実習生たちの「奴隷労働」に直結しているといういびつな産業構造だ。現在国会で継続審議とされている制度見直し法案では、こうした実態を踏まえた抜本改正が求められる。

 全労連・東海北陸ブロックの榑松佐一議長のもとに、岐阜県内の縫製工場で働くベトナム人実習生から4件の相談が相次ぎ寄せられたのは、今年6月末。別々の企業で働く実習生たちの訴えは、いずれも最低賃金を大幅に下回る給料と長時間労働だ。基本給は手取り月6万円で休みはほとんどなく、100時間を大きく超える残業代は時給400円で、明らかな法違反だ。7月に労働基準監督署に申告したところ、会社側から「(申告を取り下げなければ)全員帰国させる」などと脅しを受けたが申告は取り下げず、3社に立ち入り調査が行われた。

▼業界で違反常態化

 岐阜県は国内アパレル産業有数の生産地であり、縫製業で働く実習生は3000人以上。近年明らかな最低賃金違反は全国的に減少しているが、岐阜県はいまだに違反割合が高く、特に縫製業で深刻だ。

 15年4月から12月までの岐阜労基署の監督指導結果によると、技能実習生を受け入れている県内縫製業者の最低賃金違反割合は5割に上る。近年違反が摘発されないよう証拠を隠ぺいする業者が問題になっており、実際の割合はさらに高いと見られている。

 榑松さんは「問題の背景には、違法な低賃金を前提とした業界全体の下請け工賃の低さがある」という。衣類を安く販売するため、親会社が下請け企業に対し、最賃以下の実習生賃金を前提に低い工賃を強要する産業構造のことだ。「こうした労働を前提に国内で服がつくられ販売されていることを、消費者も知るべきだ」と指摘した。

▼是正に向け国民世論を

 岐阜県では産業全体の問題を是正するため、06年に行政や経営団体、労組などが「技能実習生等受入適正化推進会議」をつくり、適正な工賃の設定などを求めて毎年県内の縫製業界に要請を行っている。

 全労連は7月26日、岐阜県の業界6団体に対し、最賃違反などの不正を是正できないのであれば、実習生の受け入れを停止すべきと要請。7月28日には、国会で継続審議中の制度法案について提言を発表した。法案の内容では管理体制が全く不十分で「奴隷労働」の拡大を招きかねず、実態の改善のためには受け入れ企業の監督を国が行うなどの改正が必要とした。全労連の伊藤圭一労働法制局長は、「(教育や技能移転という)制度の理念と実態がかい離していることを広く国民が知ってほしい。その上で実態を踏まえた抜本的な法改正が求められる」と話している。(連合通信) 

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