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2015年 7月30日

「戦争法案」は廃案に
憲法学者や宗教者らが行動

「殺すな、殺させるな」

速やかな廃案を求める戦争法案で憲法学者204人

 米国などの戦争に参加する安全保障関連法案(戦争法案)が参院で審議入りする中、全国の憲法学者204人が7月28日、衆院での強行採決に抗議し、速やかな廃案を求める声明を発表した。法案の違憲性とともに、政府与党の国会運営のありようも厳しく批判している。

▼「憲法への無理解」指摘

 同日の記者会見で、永山茂樹東海大学教授は「問題点は解決していないどころか、法案が憲法9条その他の規定に反することがますます鮮明になった」と声明の趣旨を説明。あくまで法案を強行しようとする安倍政権の国会運営について、「真摯(しんし)な答弁とはほど遠い。同じ言葉を繰り返して無意味な答弁をしている。手つかずのまま放置された論点が非常に多い」と指摘した。

 声明は、他国の戦争に関与することになる「存立危機事態」などの概念が極めて不明確で、歯止めのない集団的自衛権行使につながりかねないことや、政府が砂川事件最高裁判決を持ち出して、法案が「違憲ではない」と説明するのは道理に合わないことなどを指摘している。

 礒崎陽輔首相補佐官が戦争法案に関連して、「法的安定性は関係ない」と述べたことについて、永山教授は「(憲法が国の権力者を縛る)立憲主義を軽視する考え方と共通している。(政府関係者の)法や憲法に対する無理解が象徴的に表われたといえるのではないか」と語った。

宗教者が戦争法案に抗議

 宗教者らによる戦争法案への抗議行動が7月24日行われた。東西本願寺派の仏教徒を中心にキリスト教、神道など信仰の違いを超えて300人以上が参加。東京の築地本願寺で集会を開いた後に国会前で声を上げた。呼び掛け人の一人で「戦争法案に反対する宗教者の会」代表の山崎龍明さんは「『殺してはならない。殺させてはならない』というブッダの教えは私たちの命というべきもの。宗教者の存在証明として、この法案にNOと言わなければならない」と訴えた。

▼過去の過ち心に刻み

 真宗大谷派では今年5月、戦前に戦争協力した反省に立ち、「安保関連法案は立憲の精神を蹂躙(じゅうりん)する行為で絶対に認められない」とする宗派声明を発表している。同派の長田浩昭住職は「先の戦争で多くの門徒さんや信者を生活のレベルで死に追いやったのは、われわれ宗教者でした。そのことを深く心に刻み、この戦争法案にやむにやまれぬ思いで声を上げなければならない」と述べた。

 今回の行動には、「念仏者九条の会」「宗教者九条の和」など6つの賛同団体が名を連ねる。事務局を担った小武正教住職は、「普段から九条の会を中心に全国的な交流があり、今回の行動に結びついた」と話す。

 行動では戦争法案に反対するアピールが採択され、1カ月後の8月24日に再び集会を開く。

「必要なのは兵士より介護士」医療・介護関係者らが訴え

 安保関連法案(戦争法案)に反対する医療・介護関係者らが7月24日、国会内で集会と記者会見を開いた。主催したのは、「いのちと暮らしを脅かす安全保障関連法案に反対する医療・介護・福祉関係者の会」で、約80人が参加した。

 日本赤十字看護大学の川嶋みどり名誉教授は「安倍政権は憲法を否定し、国民を殺し殺される道に引きずり込もうとしている。医療人として断固として反対する」と廃案へ向け尽力する決意を表明。鍼灸マッサージ師ではりきゅうルームTAPIOCAの高岡誠司院長は「医療は本来傷ついた人や弱者を支援するためにある。戦争は人為的に人を傷つけ、弱者を虐げる。戦争を合法化する安倍政権に加担してはならない」と訴えた。

 NPO法人暮らしネット・えん代表の小島美里さんは「今後、国民の30パーセントが高齢者になるこの日本で、一体誰が兵士になるのか。介護現場の人材不足が深刻化している今、戦争に人を向かわせるなどとんでもない。必要なのは兵士でなく介護士」と述べ、安倍政権を強く批判した。

 筑波大学医学部三年生の山本結さんも参加。「医師を志したのはいのちを救いたいという願いから。最初の犠牲者が出てからでは遅い。今声を上げることが重要」と、思いを語った。

 会は、7月31日に安保法案反対の銀座パレードを予定している。〈連合通信〉 

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