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利便性ばかり宣伝する危うさ |
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2016年1月から開始 |
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行政が国民一人一人に12桁の番号を割り振るマイナンバー(共通番号)制度が2016年1月から始まる。今年10月には各自治体から番号が通知される予定だが、制度の認知度は低いままだ。そんななか、識者や市民でつくる「共通番号いらないネット」が4月6日に都内で学習集会を開いた。そこでの内容を踏まえ、制度の問題点と危険性を考えてみた。 ▼混乱は必至/深刻な準備不足 2月の内閣府の調査では「国民の7割が番号(マイナンバー)制度を知らない」という結果が出ており、政府は慌てて政府広報などのPRを始めている。 一方、制度を運用する側の深刻な準備不足も明らかになっている。管理システム開発が大幅に遅れ、今年3月完成の予定が7月まで延期された。自治体へのシステム導入のスケジュールも大幅にずれ込んでいる。 いらないネット代表の白石孝氏は「自治体現場からは準備が間に合わないと不満の声が上がっている」と語る。「住民票の転入手続きが完了していない場合、通知カードが届かないなどのトラブルも予想される。転入、転居が多い大都市では相当の混乱が起き、ある自治体では2割の住民に番号カードが届かないという事態まで予想されている」と指摘した。 民間企業も他人事ではない。来年1月以降、源泉徴収票などの各必要書類にマイナンバーを記載することが義務付けられ、企業は全社員の番号を集約、管理する必要がある。しかし、対応を完了した企業は4月の時点で2割弱にとどまっている。 ▼情報漏えいの恐れ/なりすまし犯罪も 政府は「年金給付の申請や、税金の確定申告などの手続きが簡素化される」と、利便性を強調する。だが、いらないネット事務局の宮崎俊郎氏は「個人情報が一括で管理され、オンライン上を行き来すれば、不正アクセスなどによる情報漏えいの危険は格段に増す」と指摘する。 行政の準備の遅れや企業の情報管理の不備が重なれば、さらに漏えいのリスクは高まる。現に、マイナンバー制度を導入しているアメリカや韓国では情報流出に伴う「なりすまし犯罪」が社会問題となっている。 ▼国民管理が強まる/適用範囲拡大で 当初マイナンバー法は「社会保障と税の一体改革」のために発案され、税、社会保障、災害対策での運用に限定されるはずだった。しかし安倍内閣が3月10日に国会に提出した改正案では預金口座、メタボ健診などにまで利用範囲が広げられ、将来的には戸籍、診療にまで拡大することが検討されている。このまま進めばマイナンバー制は、国民の個人情報を国が一元で管理・監視できる極めて危険な仕組みとなりかねない。 日本体育大学の清水雅彦教授(憲法学)は「利便性だけが宣伝され、国民が疑問に思う間もなくプライバシーが奪われる危険がすぐそこにある」と指摘した。(連合通信) |
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