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2015年 5月11日

 負担増と取り立て強化は必至
国保の都道府県化

医療保険制度改革法案で

 医療保険制度改革法案に盛り込まれた「国民健康保険運営の都道府県化(移管)」。市町村単位で運営するより安定するような印象を与えるが、そうではない。保険料の値上げ、その結果想定される未納者対策として、現在も横行している違法な取り立てが増加すると見られている。

▼国保料は高騰

 現在市町村が行っている国保運用は、保険料未収などで赤字となれば国が補てんする仕組みだ。それが都道府県に移行されると、次の基準で保険料が設定される。

 (1)都道府県は県単位で医療費を管理、それに見合う「納付金」(市町村の″上納金″)を決定し割り当てる
 (2)都道府県は市町村ごとの収納率などに基づいて「標準保険料率」を設定
 (3)市町村は「標準保険料率」を参考に実際の保険料を決める

 市町村は都道府県から割り当てられた納付金を100%納める必要がある。しかし、大阪社会保障推進協議会事務局長の寺内順子氏は「全国市町村の保険徴収率は約9割(2012年度)。納付金を100%賄えるよう、市町村は収納できない1割分を標準保険料に上乗せした金額を保険料として設定する可能性が高い」と指摘する。

 つまり、赤字にしないため、国保加入者に負担を求めるわけだ。これまで未納分を補充してきた国からの法定外繰入金の投入もあまり期待できないため、市町村での国保料値上げは避けられない見通しだ。

▼取り立て強化へ 

 現状でも、高すぎる保険料を払えない世帯の増加や、行政が滞納者に対して行う違法な差し押さえが深刻な社会問題となっている。

 兵庫県西宮市では今年2月、高校生の孫を扶養している男性が滞納分を含む18万円について、年金を差し押さえられた。同県姫路市では今年4月にも、建設業者の男性は給与が含まれた預金を差し押さえられた。いずれも差し押さえ禁止財産である。

 全国の中小零細業者でつくる全商連は「多くの道府県に設置されている『租税債権管理機構』などでは住民の実情を無視した機械的な取りたてや滞納者の知識不足に付け込んだ違法な取り立てが行われている」と指摘。滞納が起こるのは国保加入者の生活実態に対し、現在の保険料が高すぎて払いたくても払えない状況があるからだと訴えている。

 法案には保険料収納率の引き上げ努力をした市町村に財政支援を行うことが盛り込まれている(「保険者努力支援制度」)。市町村を情け容赦のない取り立てに走らせる仕組みである。これでは「払いたくても払えない」状況は改善されず、事態が一層深刻化するのは明らかだ。(連合通信) 

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