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ギリシャ報道の既視感 |
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「貸した側」の闇に切り込む姿勢を |
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借りたものは返せ。サラ金問題を取材するなかで聞いてきた常とう句を、ギリシャ債務危機報道でもよく耳にする。 4月26日付日経新聞は社説で、「ギリシャが借りたお金を返せずに、事実上の債務不履行となる危険が高まっている」とし、こう説いた。 「EUとギリシャの協議が難航している最大の責任はギリシャにある」「(緊縮政策反対という)民意が背後にあるからといって、総額で2000億ユーロを上回る支援を受ける見返りとしてEUやIMF(国際通貨基金)と約束した改革を、すべてご破算にしていいわけがない」 ギリシャの資金繰りは綱渡りが続く。金融支援が欲しければ、「改革」を進めよ。要は「しっかり稼いで節約に努め、借りたものを返せ」というわけで、その主張は、ドイツなどEU主要国や巨大金融会社の主張とぴったり重なる。 だが、ギリシャの借金の多くは、権力者たちによって作られた「不当債務(odious debt)」だった。NHK・BS1で放送されたドキュメンタリー「ギリシャ財政破綻の処方箋」は、そう訴える。 番組の中で、米上院のM・カーク議員は「ギリシャの借入金を麻薬にたとえれば、金融会社の立場は密売人です」と語る。ゴールドマンサックス(GS)などの金融会社は、ギリシャ政府に将来の収入を担保に債券を発行させ、収入を先食いさせるという「赤字隠し」に加担。他方で、ギリシャ国債のCDS(債券破綻保険)を買っている。 粉飾でもうけ、金利でもうけ、財政を悪化させておいて破綻してももうける。まさにハゲタカの所業だが、ギリシャ前政権ではGS元社員が公的債務管理庁の長官だった。ドイツやフランスの軍事メーカーが売りつけた高額な兵器も、借金を膨らませた。 こうした不正を解明しようと、今年3月、ギリシャ国会議長が「債務監査委員会」の設立を発表。巨額の借金は誰が作り、どこに消えたのか。本格的解明が始まった。 EU・欧州銀行・IMFの「トロイカ」は強力だが、強者の言い分を垂れ流すばかりが報道ではあるまい。サラ金問題同様、「貸した側」の闇に切り込む報道こそ、公正な問題解決に寄与するはずだ。(連合通信) |
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