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環境保全措置の不備など法的瑕疵・欠点 |
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辺野古埋め立て問題打開へ |
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待ちに待ったもの、そして、見たくなかったもの。7月17日付の沖縄の新聞2紙の1面を覆ったのは、見たくなかった安保関連法案(戦争法案)の衆院通過と、待ちに待った沖縄県の第三者委員会による報告書提出だった。戦争法案と辺野古新基地問題が連動した局面である。沖縄2世の又吉直樹氏の芥川賞受賞も、沖縄にとって朗報だ(ちなみに、又吉氏の父親は埋め立てされようとしている大浦湾に面する名護市汀間=ていま=の出身である)。 ▼9月にも取り消し判断 第三者委員会は法律的瑕疵(欠点、欠陥)として(1)辺野古埋め立ての必要性の判断(2)埋め立てによる利益と不利益の比較(3)環境保全措置の不備(4)県の海岸保全基本計画に違反――の4点を挙げた。沖縄県は1カ月ほどかけて精査するとしている。国の本格工事着工の動きをにらみつつ、翁長雄志沖縄県知事は9月にも、前知事による埋め立て承認の取り消しに踏み切る。 辺野古のゲート前、海上で連日体を張って抗議行動をしている人たちは、知事の取り消しを待ちに待っている。先日の台風9号で、放置されたオイルフェンスなどが無残に海岸に打ち上げられた。オイルフェンスの固定のためとして多数沈められていたコンクリートブロックが、台風の巨大なエネルギーによって動きサンゴを破壊していることが、既に明らかになっている。「一刻も早く取り消しを」という切迫した思いを、多くの県民が共有している。 翁長知事は辺野古新基地阻止に向けた取り組みを細心の注意を払って進めている。第三者委員会は弁護士3人と環境・生物の専門家3人の6人で構成され、2月以来、半年をかけて議論してきた。3人の弁護士は、基地問題の裁判には関わってこなかった人たち。公平性を疑われないための配慮という。 過去にさかのぼって行政行為の効力を打ち消す「取り消し」ではなく、その時点からの効力を停止する「撤回」なら、第三者委員会の報告を待ずにできるという議論もあった。知事はそれも避け、首相や官房長官との会談、訪米要請を行ってきた。このような進め方にいら立つ県民もいたが、知事は、慎重に丁寧に手順を踏むことで、揚げ足を取られず、幅広い世論の支持を得ようと、忍耐を貫いているようだ。 一方、菅官房長官は第三者委の「瑕疵(かし)」報告について「既に(前知事により)行政判断が示されている」として無視する構えだ。自ら繰り返す「日本は法治国家ですから」という言葉に自ら反する。 ▼戦争法でも沖縄無視 戦争法案も沖縄を無視して進めている。同法によって沖縄が再び戦場にされようとしていることにも沖縄の怒りは向けられている。戦争法案も、沖縄にとって今ここにある危機なのだ。戦争法案を沖縄とつないで捉えることの意味を改めてかみしめたい。(ジャーナリスト 米倉外昭) |
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