京都府職員労働組合 -自治労連- Home 情報ボックス 府政NOW 京の写真館 賃金 料理 大学の法人化



2015年 9月18日

増え続ける「下流老人」
~人ごとではない高齢者の貧困生活~

月収13万円程度が生活保護水準

 貧困に陥る高齢者が増え続けています。今年6月時点で65歳以上の生活保護受給世帯は過去最高の79万6455世帯。生活保護と同水準で暮らす「下流老人」の広がりも深刻な問題となっています。

▲単身高齢者22%が貧困状態

 話題の言葉「下流老人」とは、生活保護レベルで暮らす高齢者を指す造語。生活困窮者を支援するNPO法人「ほっとプラス」代表の藤田孝典さんが提唱しています。

 月収13万円程度が生活保護レベル。この金額は医療費や介護費用など出費がかさむ高齢者にとって、決して十分とは言えません。重い病気になれば、途端に貯金を切り崩す生活になってしまいます。誰にも頼れない単身者であれば、蓄えが尽きた途端、一気に生活保護水準以下の暮らしになってしまいます。
 内閣府の調査(2010年発表)によると、年収が120万円程度の「相対的貧困」状態の単身高齢者は22%にも上っています。

▲「下流」転落は誰の身にも

 「現役時代にちゃんと働き、年金を納めていれば大丈夫では」といった声に対し、年間300件以上の相談に応じているという藤田さんは「『下流化』は特別なことではなく、誰にでも起こりうる」と指摘。その要因として「離婚」と「子どもの失業」の2点を強調しています。

 熟年離婚で争点となるのが年金などの分配。「収入月20万円の男性が離婚を機に、元妻に月8万円を渡すことになったとしたら、固定費や生活費は別々にかかるので、この金額ではお互いに以前の生活は維持できなくなるでしょう」(藤田さん)。

 不安定雇用の広がりによって、「子どもが失業、うつ病に」といった相談も増加しているといいます。
 「夫婦2人ならば月20万円で何とか暮らせますが、働けなくなった子どもまで養うとなれば別。現役世代の雇用問題は高齢者にも影響を及ぼしています」

・ 高収入でも安心できない

 現役時代に比較的高収入だった人からの相談も目立ちます。藤田さんは「年収800万円以上だった人は珍しくなく、貯蓄額の多さやかつての収入はもはや関係ない」と指摘しています。

▲貧困は社会の構造的問題

 困窮する高齢者が最低限度の生活を営むために、生活保護は欠かせない制度です。それでも「保護を受けるのは恥ずかしい」とためらう当事者も。「自己責任だ」などのバッシングも絶えません。

 こうした現状について、藤田さんは「貧困は特殊な問題だと思われがちですが、多くの人に陥る可能性があります。困窮する当事者が公的な機関に頼りやすくするためには、社会保障は誰にでも使える権利であるという認識を広げなければなりません。貧困は本人の責任ではなく、社会の構造的な問題であるといった議論を一層深めていくことが必要です」と語ります。〈連合通信〉 

府職労ニュースインデックスへ