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2015年 7月06日

核保有国への働きかけ大切
被爆70年インタビュー 田中煕巳・被団協事務局長

核兵器廃絶へ被爆者は訴え続ける!け

 今年は広島・長崎への原爆投下から70年。被爆者は身をもって体験した苦しみを胸に、「ふたたび被爆者をつくるな」と世界に核兵器廃絶を訴え続けてきました。日本被団協の田中煕巳事務局長に聞きました。

▼被爆体験語り世論に訴え

 今春の核不拡散条約(NPT)再検討会議では最終文書を採択できないなど、核兵器を手放そうとしない保有国のかたくなな姿勢が一層鮮明になりました。

 今後への足かがりとなる成果もありました。最終文書案では、人道的な側面から「核兵器のない世界」に向けて努力すべきであること、国連総会に核兵器保有の法的ルールについて検討する部会を設けることなどが提起されました。このような内容が議論されたことは大きな前進です。

 核保有国の姿勢を変えるには、まずその国民に働きかけることが不可欠です。戦争の記憶が薄れ、戦争をイメージすることが難しい時代。若い世代には、核兵器が使われる事態は想像もつかないことでしょう。

 だからこそ、被爆者がリアルな体験を語る必要があります。私たちは生きている限り、人々の心に訴える証言活動を続けます。その非人道性を告発し、核兵器廃絶を求める圧倒的な世論をつくることがますます求められているのです。

若い世代に体験つなぎたい

 再検討会議に合わせ、49人の代表者を米国に派遣しました。証言活動や各国代表への要請行動などに取り組み、核兵器禁止条約の実現をアピールしました。

 次回の再検討会議は5年後の2020年。被爆者の多くが高齢となり、代表団の派遣も困難になるでしょう。私たちは「核兵器廃絶の瞬間をこの目で見届けたい」と願いながら、一生懸命に運動を続けてきましたが、それは不可能となる状況に近づいています。
 「被爆○十年」という、節目の年を迎えるのも、多くの被爆者にとっては今年が最後になるかもしれません。「私たちに被爆80年はない」という思いです。
 
被爆体験聞く機会を

 しかし私たちは8月を前に、「被爆者にとってこの70年は何だったのか」「10年後はどうすべきなのか」と考えたい。現実を受け止めつつも、被爆者がなすべきことは何かを考え続けていきたいと思います。
 若い人たちにとっては、今が被爆者の証言を聞く、残されたチャンスです。広島や長崎を訪ねたり、全国に住んでいる被爆者の話を聞いたりして、核兵器廃絶への思いをぜひつないでいってください。

▼同じ悲劇繰り返さないで

 「戦争法案」といわれる安全保障法制が国会で焦点となっているいま、戦争体験がない皆さんにはぜひ、「もし戦争が起こったら、どうなるのか」を真剣に想像してほしい。知らないことをイメージするのは確かに難しいでしょう。いつも、ではなくても結構ですが、年に1度でもいいから考えてみてください。

 私がいちばん強調したいのは「戦争とは、人が殺し合いをすること」。今では首相といわれる人ですら、戦争がどんなものであるかを知らず、どのような結果をもたらすかを想像できていないように思えます。

 「戦争法案」を成立させようと、がむしゃらに突き進む首相。与党の国会議員のほとんどが唯々諾々とこれに従っているという状況は危機的です。このままでは先の戦争と同じ悲劇を繰り返してしまいます。

戦争の現実見てほしい 

 再び多くの犠牲を払わなければ、理解できないのでしょうか。戦争体験者としては「戦争の現実を見てほしい」との思いです。悲劇が現実になる前に、みんなが「戦争とは何か」について知恵を働かせ、人間としての良心をもって考えてほしいと願っています。 (連合通信) 

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