京都府職員労働組合 -自治労連- Home 情報ボックス 府政NOW 京の写真館 賃金 料理 大学の法人化



2015年 4月20日

世界の世論変える運動へ
長期戦覚悟の辺野古基金設立

「沖縄の本気度を示すもの」

 4月9日、辺野古基金が創設された。

 「基金設立趣意書」は、「日本国内の新聞や米国紙への意見広告などで『辺野古新基地建設ノー』の沖縄の声を国内外に発信すると同時に、県内移設を断念させる運動(活動)の前進を図るために物心両面からの支援を行」うとしている。

 琉球新報は10日付で、1面トップ横見出しを張って報じたほか、2、3面と社会面を見開き展開した。社説では〈民主主義を守る試み/平和の世論を喚起したい〉と題し、「やるべきことは無数にある」として、米有力紙への意見広告、次期政権を見据えてのシンクタンク行脚、国連での知事演説―などを提案。さらに石原都政が呼び掛けた尖閣諸島国有化の募金が国粋主義ナショナリズムを喚起した例を挙げ、「辺野古基金は新基地建設にとどまらず、石原氏の志向とは正反対の、平和を求める国民世論を喚起することになろう」と指摘している。

 共同代表の一人に就任した佐藤優氏(作家、母親が沖縄出身)は琉球新報のインタビューに応じ、「『身銭を切り、税金にぶら下がらずにやる』という沖縄の本気度を示すもの」と語った。独立系のシンクタンク「新外交イニシアティブ」事務局長の猿田佐世氏は、米国の有力シンクタンクやメディアを活用した訴えも検討するよう提言した。

▼有力企業も続々と協力

 琉球新報社説は、この基金創設で「新基地反対運動は新たな次元に入った」と書いた。この意味を考えてみたい。

 まず、長期戦を決意したということだ。日本政府は、選挙で繰り返し示された民意を無視し、抗議行動を力で抑え込んで「粛々と」工事を進めている。このような政府を止めるために、世界の世論を運動の対象にすると明確に位置付けた。そして、政府との全面対決がこれからも長く続くことを覚悟し、退路を断ったといえる。

 もう一つは、沖縄の本気度を示したということである。特に企業の動きには驚く。県内有数の企業グループである金秀(かねひで)グループは経常利益の1%を新基地反対運動に提供すると宣言した。新入社員の研修の一環としてキャンプ・シュワブのゲート前行動にも参加している。こうした企業だけではなく、匿名を条件に寄付を希望する経営者が多数いるという。政府に盾突く運動に地域の有力企業が続々と協力するということが、日本の他の地域で起こるだろうか。

 長期戦を覚悟し後戻りできない段階に「オール沖縄」は到達した。米国世論が変われば政権は追い詰められる。その確信が、運動に関わる幅広い人々の共通認識だ。

▼デタラメな菅官房長官

 統一地方選や首相訪米への影響などに対応するため、菅官房長官は5日、やむを得ず翁長知事と初会談を行った。その機会を翁長知事が最大限に活用し、県民の思いのたけをぶつけた。一方の、官房長官は15日にわざわざUSJ(ユニバーサル・スタジオ・ジャパン)運営会社のCEO(最高経営責任者)を官邸に呼び、沖縄進出を支援すると言った。選挙の応援演説でもUSJの名前を出していた。特定の外資系企業にこのような肩入れをしていいのだろうか。沖縄では、USJはカジノも考えていると言われており、警戒感も根強い。

 菅官房長官の言動はコントのネタになりそうだが、新基地建設の現場では反対運動に弾圧が加えられ、豊穣の海を埋めつぶす準備が進む。14日には浜岡原発再稼働に福井地裁が待ったをかけた。覚悟を決めた裁判官であれば正義は通るということにも、希望を見たい。(ジャーナリスト 米倉外昭) (連合通信) 

府職労ニュースインデックスへ