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2015年 6月08日

 雇い止めの恐れ知らされず
労働弁護団の派遣相談

法案に怒りと不安相次ぐ

 日本労働弁護団が6月2日に行った派遣労働緊急ホットライン(6月4日付で既報)には、深刻な相談が多数寄せられた(図)。「改正」案の問題点が、当事者にほとんど知らされていないこともはっきりした。


派遣労働緊急ホットラインに寄せられた相談内容(抜粋)

●40代男性・専門派遣(ビルメンテナンス)

3年で派遣契約打ち切りなどまったく知らされていない。非常に困る。仕事を5年続けていても分からないことがたくさんある。3年で職場を転々とすることをキャリアアップなどと言うのはとんでもない発想だ。

●40歳女性・専門派遣(OAインストラクション)

テレビで3年後の雇い止め(の可能性)を知った。年金受給者の両親と暮らしている。こんな大切なことをなぜマスコミは報道しないのか。私たちの生活に直接かかわることだ。

●40代女性・専門派遣(ソフトウェア開発)

60社面接してやっと長く働けるところを見つけた。法改正されれば(3年後に)その派遣先(働く場所)を失ってしまう。私の雇用はどうしてくれるのか。

●40代女性・専門派遣(事務用機器操作)

法改正されれば3年しか働けなくなるという理由で、(前倒しで)今年の7月までと解雇通告されている。どうすればいいのか。(夫からの相談)

●35歳男性・一般派遣(製造業)

8月以降、書籍編集の専門業務派遣の仕事が決まった。せっかく安定した仕事にありつけると思っていたが3年で雇止めになるのは困る。正社員になりたいが、年齢的に厳しいと感じている。

●44歳女性・専門派遣(OAインストラクション)

3年で終わり(雇い止め)になるのだけは勘弁してほしい。次の仕事があるか非常に不安。これまでスキルアップしてきたのに3年ごとに新人としてやり直すのはたまらない。

●男性・一般派遣(倉庫での仕分け業)

73歳の父親を介護しており、それを伝えるとどこも正社員として雇ってくれない。今の勤務先は契約内容も分からず、突然休んでくれと言われる。賃金は手取りで月14~15万円と低い。

●50代女性・専門派遣(放送機器等操作)

同じ職場で10年働いている。正社員より経験があるが、賃金は5~6倍の差がありボーナスもない。どこかで道が開けると思い頑張ってきたが、派遣法は改正のたびにどんどん悪くなる。

          「違法派遣の合法化許すな」日弁連集会で労働者が訴え

 日本弁護士連合会は6月4日、労働法制の規制緩和に反対する集会を開いた。房安強貧困問題対策本部委員は国会で審議中の派遣法案について、「雇用主の責任が果たされない間接労働により、立場の弱い労働者を増やす法『改正』であり、強く反対する」と述べた。

 集会では、違法な派遣切りに対し裁判に立ち上がった当事者らが発言した。

 派遣会社アデコから日産自動車に派遣されていた女性は、専門業務を偽装する違法派遣を強いられていた。雇い止めを通知された後、労働局が日産、アデコ双方に「直接雇用を含む雇用の安定」を是正指導したものの、会社側はそれを無視して契約を更新しなかった。女性は「私の権利は無視できるほど安いものではない」と述べ、労働者に無権利状態を強いる派遣労働を批判した。

 日本赤十字社で専門業務偽装の違法派遣で働かされていた廣瀬明美さんは、派遣法「改正」について「これまで現場で行われてきた違法派遣を是正する方向ではなく、逆に『違法派遣に(法律を)あわせる』ものだ」と批判した。


▼41都道府県で反対声明派遣法改悪案で弁護士会

 日本弁護士連合会によると、派遣法「改正」案に反対する会長声明を発表している弁護士会は、6月2日現在で41都道府県。全弁護士会の5分の4以上に達することがわかった。

 日弁連は、日本で活動する全ての弁護士が必ず加入しなければいけない組織であり、経営側の弁護士も在籍している。(連合通信) 

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