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2015年 8月31日

戦争法案廃案求め国会に12万人
空前の運動広がる

京都弁護士会集会に4500人

  「戦争法案」に反対する草の根の運動が空前の規模で広がっています。8月29日の京都弁護士会主催の円山集会には、会場にはいりきれない4500人(主催者発表)が集まりました。30日の国会包囲行動には12万人(主催者発表)が「戦争法案反対」「安倍やめろ」の声をとどろかせた。同時にこの日、全国1000カ所で集会やデモ、宣伝、街頭演説などが実施され、「平和デモクラシイ」と呼ばれる運動が展開されました。〈写真・京都弁護士会主催の安保法案反対集会〉

 いま、全国では、市民や学者、弁護士、学生、労働組合などに大きなうねりが起こっています。

「安保法案は許しがたい」/法曹関係者と学者が会見/法と学問の危機訴え

 安保関連法案に反対する学者の会と元裁判官ら法曹関係者300人が8月26日、共同の記者会見を開いた。元最高裁判事や元内閣法制局長からも安保法制は「違憲法案」との批判が相次いだ。

▼心の底から「違憲」

 会見では元内閣法制局長官の二人が安保法案の違憲性について言及した。

 大森政輔さんは「違憲」と書かれたボードを掲げながら「心の底から違憲と思う」と話し、「歴代内閣は集団的自衛権の行使は違憲と位置付けてきたが、安倍政権はそれを閣議決定で変更し、法的安定性を自ら害した」と指摘した。

 宮崎礼壹さんは「ちょっとだろうがたっぷりだろうが、憲法9条の下で集団的自衛権を行使することはできない。合憲とする解釈は立憲主義に反する」と断じた。

 元最高裁判事の濱田邦夫さんは「総選挙で30パーセントほどの支持しか得ていない政府が選挙の争点でなかった法案を突如クーデターのようにごり押ししようとする。許しがたい。この法案は国民全体の世論で再考すべき」と話した。

▼報道人の姿勢を問う

 学者からは、報道陣に対し反対運動について積極的な報道を呼び掛ける場面もあった。

 上智大学の中野晃一教授(政治学)は「日弁連会長、元最高裁判事、元内閣法制局長官、憲法学者が並んだ。日本の法の支配、人権、学問が今いかに危機にあるかが分かるはず。同じく報道の自由も危機にある。全法曹、全学者に次ぐ『全報道』はどこにあるのか。これはあなた方の問題でもある」と語った。

 法政大学の山口二郎教授(政治学)も「この場に集まった全ての学者が政治問題を扱っているわけではないのに、なぜ街頭に立つのか。安倍政権の反知性主義によって既に学問の根幹が崩されようとしているからだ。報道側もプロフェッショナルとして踏み込んで闘うことが求められている」。

■100大学有志が抗議行動

 全国の学者、研究者でつくる「安全保障法案に反対する学者の会」は8月26日、都内で「100大学有志の共同抗議行動」を行った。約80大学の253人が一堂に会し、安保法案の廃案を訴える合同記者会見も行った。
 当初18校ほどだった「大学有志」は現在、全国で108大学に拡大し、今も増え続けている。「学者の会」の声明に賛同する学者、研究者は26日時点で計1万3507人となった。

▼「血」より「知」を/京都大学准教授 藤原辰史さん

 京大の声明は「血を流すことを貢献と考える普通の国よりは、知を生み出すことを誇る特殊な国に生きたい」と述べている。23の言語に訳され、多くの反響をいただいた。賛同してくれた方のためにも私たちは絶対に引きさがらない。安倍政権にくさびを打ち込まなければならない。

▼戦争への道許さない/東北学院大学教授 郭基煥さん

 被災3県は「死なないで」という願いが国内外から集まり、命のはかなさについて徹底的に思い知らされた地域でもある。被災3県に暮らす私たちは人が人を殺すための安保法案を到底容認できない。私たちは自然に対して「人の命を奪うな」と命じることはできないが、人に対してはできる。私たちは今安倍政権に「人の命を奪う戦争に道を開くな、安保法案を取り下げよ」と命じる必要がある。

▼公明党に歯止め望む/創価大学講師 佐野潤一郎さん

 創価大学は池田大作先生の精神に基づく、人のため、平和のための大学。平和を破壊する安倍政権の安保法案には同調できない。安保法案について公明党は「歯止めをかけた」と言っているが、そうは思えない。このままでは何の歯止めもかからず法案が通ってしまう。公明党にはさまざまな政治分野で活躍する創価大の先輩方がいる。本当の意味で自民党に歯止めをかけてほしい。


法曹は違憲法案許さない日弁連が安保法案で集会

 日本弁護士連合会は8月26日、安保関連法案(戦争法案)に反対する集会を東京・日比谷野外音楽堂で開いた。市民や学者、組合員、各地の弁護士ら4000人が参加し、「違憲法案は廃案に」とアピールした。

 学生グループ「SEALDs」や「安保関連法案に反対するママの会」のメンバー、日弁連の歴代会長らも駆け付けた。村越進会長は法案に反対する国民の声が高まっていることを強調。「先の戦争と同じ過ちを二度と繰り返さないよう真剣に考え、行動しなければならない。この憲法前文の決意を多くの国民と共有するために日弁連は全力を尽くす」と訴えた。

 続いて裁判官など法曹関係者OBや学者らがスピーチ。「法の番人」と呼ばれる内閣法制局元長官の宮崎礼壹さんは、集団的自衛権の行使が必要な理由として「国際情勢の変化」を挙げる安倍政権を、「行使を認める本質的な情勢変化は一切論証されてない」と批判。「多くの国民は否としている。廃案しかない」と力を込めた。

 日弁連は政治的に中立であるべきという主張に対し、立教大学の西谷修特任教授(哲学)は、「中立的であるための土台が政府に壊されている。憲法と法的安定性を守るために声を上げよう」と呼び掛けた。
 パレードで参加者は「戦争する国、反対」などとコールし、国会まで練り歩いた。

廃案めざす運動さらに大きく/私鉄関東地連大会/安保法案で幹部ら呼び掛け

 7月初めの私鉄総連大会では、安保関連法案(戦争法案)の廃案に向けた運動が提起された。最大の地方組織である関東地連の大会(8月27日、茨城県)では、来年夏の参院選勝利とあわせ、同法案を廃案に追い込むため、さらに運動を広げようという呼び掛けが相次いだ。

▼テロの標的になる

 滝沢武宏委員長は安倍首相の70年談話と、戦争できる国づくりを進めている現実とのかい離を指摘。「戦争犠牲者の無念さに思いを致せば、二度と過ちを繰り返してはならないし、そのきっかけづくりを許してはいけない」と述べ、戦争法案成立にまい進する安倍政権を厳しく批判した。

 総連本部の藤井一也委員長も来ひんあいさつで「高校生や大学生、子育て中のお母さん方が(法案反対の)大きなうねりをつくり、それが拡大している。労働組合としても安倍政権のもくろみを阻止していこう」と呼び掛けた。

 準組織内議員の辻元清美衆院議員は、「これは安全保障のための法案ではなく、アメリカの戦争下請け法案に他ならない」と断じた上でこう訴えた。

 「アメリカの戦争下請けをした国は、イギリスもスペインも地下鉄や列車がテロに遭っている。2020年の東京オリンピックで皆さんの職場がテロ攻撃の対象にされるのではと心配。職場を守るためにも法案断固反対で頑張ってほしい」
 地連大会では、中小労組の発言を保障するため、大手組合は発言を控える慣行がある。そんななか、小田急バス労組の代議員は「新聞報道では、出版労連や全印総連、医労連がこの問題でスト権を立てたという。われわれも憲法改悪に反対するスト権確立が必要ではないか」と提案した。

「米国の言いなり脱せよ」/平和学の父・ガルトゥング氏/安保法案進める政権を批判

 「平和学の父」として知られるノルウェーの平和学者・ヨハン・ガルトゥング氏が8月21日に横浜市内で講演し、米国の要請に応じて安倍政権が安保関連法案(戦争法案)成立に突き進む状況を「いわば米国の占領下。独立国とは言えない」と批判した。

 講演会は、平和に関する映像作品のコンクールを行っている「国際平和映像祭」が開いた。

 海外での武力行使を可能とする同法案について博士は、東アジアの緊張を一層高めるものだと指摘。「北朝鮮、中国から見れば攻撃的な動きに映る。軍拡の進行を招き、戦争の種を巻くことになる」と語った。

 過激派組織「イスラム国」(IS)と米国間で戦闘が起これば、自衛隊も派兵を余儀なくされるだろうとの見方を示し、こう述べた。

 「欧州の政治状況が変化し、米国の言うことを聞く国はほとんどなくなった。イスラム国と戦う上で頼りになると米国は日本に目をつけている。自衛隊が構成員を1人でも殺せば、10倍返しの報復を受けるだろう。法案が成立したらどうなるのかよく考えるべきだ」
 日本が国際平和に貢献し続けるには対米従属を脱し、真の独立国になることが不可欠だと強調。「市民社会は独立国になるための準備をしなければならない」と語り、特に若者たちに期待を寄せた。

用語解説〉積極的平和

 単に戦争がない状態が「消極的平和」。これに対して、戦争の土壌となる貧困や差別をなくしていく考え方を「積極的平和」と呼びます。ノルウェーの平和学者ヨハン・ガルトゥング氏が提唱した概念です。ガルトゥング氏は、社会的な不平等を「構造的暴力」と定義し、あらゆる暴力のない社会をめざすべきと主張しています。安倍首相は、自衛隊の海外派遣を「積極的平和主義」と言い、安保関連法案の必要性を強調しますが、同氏はこれを「正反対で盗用だ」と厳しく批判しています。

国会成立に6割反対ロイターの企業調査で

 安保関連法案の今国会での成立について62%の企業が反対していることが8月21日、ロイター通信社の調査で分かった。

 資本金10億円以上の400社を対象に8月に実施。約270社が回答した。

 反対の理由は「外交関係が困難になり、海外取引などにも波及すると思われる」(運輸)、「国民の理解が不十分」(食品)、「手続き、進め方が強引すぎる」(機械)など。最優先で取り組んでほしい政策を聞いたところ、「デフレ脱却・成長戦略」(63%)が最も多かった。〈連合通信〉 

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