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歴史に埋もれた被害を訪ねて |
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東アジアの元日本軍「慰安婦」 |
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日本軍「慰安婦」に関する写真展「消せない痕跡――アジアの日本軍性奴隷被害女性たち」が9月4日から13日まで都内で開かれた。韓国の写真家、安世鴻(アン・セホン)さん(44)が東アジアの約60人の被害女性を訪ね、写真に収めた作品展だ。安さんは「被害女性たちの証言や記憶は、70年前の過去のものではありません。今を生きる私たちが広く共有し、『未来へのメッセージ』としていくことが必要です」と話す。 安さんは約20年前、元「慰安婦」の被害女性らが共同生活を行う韓国の「ナヌムの家」を撮影の仕事で訪れ、3年間ボランティアとして生活をともにした。それ以降、被害女性たちの姿を撮り続けてきた。 今回の作品展では、これまでほとんど調査が行われてこなかった海南島(中国)や、フィリピン、インドネシア、東ティモールといった東アジアの各地に暮らす被害女性たちを訪ねた。 女性たちのなかには、これまで被害者として知られていなかった人も少なくない。被害女性の支援活動を行う関係者も、展示で初めて見る女性が多く驚きの声をあげているという。安さんが訪れなければ、歴史に埋もれてしまっていたであろう被害女性たちの姿や証言が、今回展示された。 展示の副題は「慰安婦」ではなく「性奴隷被害女性」とした。日本軍に性的行為を強いられた女性たちは「性奴隷」であり、「慰安」していたわけではないという趣旨だ。 ▲今も腕に残る「痕跡」 東ティモールに住むカルミンダ・ドウさん(写真)は1942年、推定16歳のときに日本軍に連行され、3年間性奴隷にされた。彼女の腕には、「多鶴子」という当時彫り込まれた入墨が残っている。現在は90歳に近く、アルツハイマー症のため当時の記憶はない。しかし彼女の妹に被害について話を聴いているとき、そばにいたカルミンダさんの表情が歪んだ。安さんは「記憶はないが、被害の体験がトラウマとなって彼女を苦しめ続けていることが分かりました」と話す。 東ティモールでは、10歳そこそこの少女が連行されたケースも多いという。当時医療設備や避妊用コンドームさえない状況のなかで、日本軍は妊娠することのない初潮前の少女を中心に連行したという複数の証言がある。 ▲写真通じ共感の場を 一人一人の被害女性を取材する時、安さんは写真を撮りに行くのではなく「会いに行く」のだという。時間をかけて何度も訪ね、話をするなかで関係性を深めていく。シャッターを切るのは、帰る直前に数回だけ、ということも多い。 安さんは「写真展に来てくれる人が、彼女たちを(自分とは遠い存在として)見るのではなく、共感してほしい。被害女性たちと来場者が関わり合い、疎通する場になれば」と話している。〈連合通信〉 |
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