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2015年 4月 6日

国内外で矛盾が拡大
時の問題/TPP合意へあせる米国

フィリピンは反対の立場に

 TPP(環太平洋経済連携協定)交渉の大筋合意が見通せないなかで、タイムリミットが迫りつつあります。推進役の米国が大統領選挙(2016年11月)を控えている関係で、今年の6月頃にはめどを付けなければならないためです。米国政府があせりを強める一方で、TPPの問題点も徐々に明らかになってきました。

▼米国議会は特別扱い

 今年3月に米国政府は連邦議会議員に対し、TPPのテキスト全文を公開すると発表しました。これまでも条件付きで閲覧は許可されていましたが、今回はその条件を大幅に緩和したのです。秘密交渉を批判してきた民主党議員に「妥協」する姿勢を示して取り込みを狙ったものと見られています。

 しかし、交渉中のテキストは国会議員にさえ秘密にするという「保秘義務」があったはずです。日本を含めて他の交渉参加国では今も交渉内容は明らかにされておらず、米国の議員だけ特別扱いするのは、明らかに不公平。こんなことが許されるなら、日本の国会議員もテキスト公開を求めるべきではないでしょうか。

▼豪州はISDの例外?

 これとほぼ同時期に、政府や企業の機密情報を暴露するウェブサイト「ウィキリークス」が、貿易ルールに関わる部分のテキストを公開しました。多国籍企業などが進出国の法律や制度で「不利益を被った」と判断すれば、その国の政府や自治体を国際的な紛争解決機関に訴えて賠償金を請求できるISD条項について書かれています。

 この問題について、米国で貿易政策を監視している市民団体パブリックシチズンのロリー・ワラさんは「(批判の強いISD条項の)テキスト暴露はTPP推進派にとって思いもかけなかった大惨事だろう」と見ます。

 暴露されたテキストによると、ISDを使える対象分野の拡大などとあわせ、オーストラリアだけは適用を逃れる例外扱いになりそうな文言が盛り込まれています。

 そもそもTPPは参加国が対等な立場で共通のルールをつくるのが目的とされてきました。1国でも例外扱いが許されるなら、日本の農産物や自動車の関税を例外にさせることも、もっと強く主張できるのではないでしょうか。

▼米国内ではメド立たず

 米国議会やオーストラリア政府を特別扱いせざるを得ないほど、大筋合意取り付けに四苦八苦しているということでしょう。

 安倍首相の訪米(4月26日~5月3日)と、その後の主席交渉官会合、さらに5月23日からのAPEC(アジア太平洋経済協力会議)貿易担当大臣会合など、交渉の大筋合意に向けた日程が目白押しです。6月までに片を付けたいという意向の表れです。

 面白いのは、そのAPEC会合の舞台となるフィリピンが、TPP参加に前向きだった以前の姿勢を改め、いまでは反対の立場を明らかにしていること。国内の公共事業を外国資本に開放することに慎重なためと言われます。

 米国議会で、TPPを通すために必要な関連法案(ファストトラック法)はいまだに提案さえされていません。法案成立のめどが立たないためで、民主・共和の両党内には、TPPと関連法案への根強い不信と反対の意見があるのです。

 米国は、多くの矛盾と問題点を抱えながらも大筋合意に向けて突っ走っています。日本政府はそれに従うのかどうか。いずれにせよ、この4月と5月が大きなヤマ場になるのは間違いありません。(連合通信) 

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