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2015年 4月 7日

「犠牲者出るのは避けられない」
元内閣官房副長官補の柳澤協二氏

集団的自衛権の立法化で

 安倍政権は、今国会で集団的自衛権の行使を具体化する安全保障関連法の成立をめざしている。法整備に向けた与党合意もまとめられたが、元内閣官房副長官補(安全保障担当)の柳澤協二氏は、「隊員の安全を確保すると言うものの、武器使用を前提として任務を拡大すれば、確実に犠牲者が出る。隊員のリスクを認識していない内容だ」と批判した。

 シンクタンク「新外交イニシアティブ」が4月3日に開いたシンポジウムでの発言。

▼弾薬輸送は攻撃対象に

 政府・与党は他国軍の後方支援について、これまで禁じられていた弾薬の提供・輸送を認めようとしている。柳澤氏は、弾薬提供は攻撃を受けるリスクを高める行為だと指摘。与党合意は「現に戦闘が行われていない地域」に限るとしているが、「弾薬提供が必要になるのは、前線部隊が弾切れになった時。戦闘が起きたからといって提供を中断できるものではない」。「相手側からすれば前線に弾薬が届いては困るわけで、輸送中の(自衛隊)トラックを攻撃してくるだろう」との見方を示した。

▼テロ組織から狙われる

 国連平和維持活動(PKO)などの治安維持活動では、正当防衛以外の武器使用を認め、他国部隊や民間人を守る「駆けつけ警護」も可能にするという。対テロ組織を念頭に置いた活動のニーズが国際的に高まっていることから、自衛隊も武装勢力が支配している地域に派遣されることになると指摘。そこで「駆けつけ警護」を行うとすれば、これまでは考えられなかった装甲車や武装ヘリ、専門的な部隊が必要になる。柳澤氏は「武装ヘリを導入すれば相手から軍と見なされ、攻撃を受ける可能性が高まる」と強調した。

▼現場知らずの発想

 前回のイラク派遣で自衛隊は給水、医療、道路の補修など人道復興支援の任務についていたため、「現地の人に銃を向けることもなく、結果として犠牲者を出さなくて済んだ」(柳澤氏)。海外に派遣する場合は、この任務が死者を出さないギリギリのレベルだという。

 その上で柳澤氏は「武器使用を前提とした発想自体が間違い。(紛争状態では)こちらが1発打てば、100発打ち返される。犠牲を覚悟しなれければならず、『死ななくて済む』と考えるのは現場の知識がない証拠だ」と批判した。(連合通信) 

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