京都府職員労働組合 -自治労連- Home 情報ボックス 府政NOW 京の写真館 賃金 料理 大学の法人化



2015年10月05日

「男女の賃金格差がデフレ促進」
和光大教授の竹信三恵子さん

人権擁護大会で基調講演

 和光大学教授でジャーナリストの竹信三恵子さんが10月1日、日本弁護士連合会の人権擁護大会シンポジウム「女性と労働」で基調講演した。その中で、日本経済が長くデフレ状態に陥った原因として、比較的賃金が安定していた男性の雇用が減り、低賃金の女性労働が増えたことが大きいのではないかと指摘した。

 これまでも、働く者の賃金低下がデフレの主な要因だとする見方はあった。竹信さんは、その賃金低下を男女間格差の観点からさらに分析した。

 総務省の労働統計調査を使って、2003年から10年間の産業別就業者数の推移をみると、男女計では5万人の減少にとどまるものの、男性では製造業と建設業が大きく減少。一方、女性は医療・福祉を中心に大幅に増えていることが分かる(図参照)。

 竹信さんは「産業構造が変わり、いわゆる男の仕事が減って、賃金の安い女の仕事が増えた。これではデフレになるのは当たり前でしょう」と述べた。女性の賃金は男性のほぼ7割程度であり、全体として日本の人件費(給与総額)が減ったことになる。

▲共稼ぎモデルに転換を

 この状況を打開するには何が必要か。竹信さんは、「(政策の前提となる)日本の標準労働者像を変更すること」を訴えた。共働き世帯が多数であるにもかかわらず、いまだに夫が働き、妻が専業主婦の世帯を想定して物事が決められているのは時代遅れと指摘。

 家事や育児、介護は妻が行うことが前提となっているため、女性が正社員で働き続けるのは相当に困難となる。女性はパートや派遣などの非正規労働に移行し、男性は稼ぎ手として長時間労働に耐えるしかなくなるのだという。

 男女とも家事と育児、介護を担いながら働き続ける労働者モデルが求められていると力説した。8時間労働はもちろん、社会保障や社会福祉などのシステムも働く者を支援できるように再設計すべきと強調した。

働く女性の貧困に焦点日弁連の人権擁護大会

 日本弁護士連合会は10月1日に千葉市で人権擁護大会を開き、「女性と労働」をテーマにしたシンポジウムを行った。日本の女性の深刻な貧困問題に焦点を当て、背景にある「性別役割分業」を前提とした社会システムの問題点などを議論した。

 当日はマタニティーハラスメント被害者や派遣労働者、風俗店労働者など当事者からの発言や、支援者、組合、法律家、研究者などさまざまな視点から問題点を探った。オランダで行った独自調査の内容も報告された。

 同大会は日弁連が年に一度、人権問題の調査・研究などの目的で行うもの。今年は「女性と労働」のほか、認知症や障害のある人の自己決定権の問題、原発事故による放射能問題の分科会が行われた。

 シンポの内容については次号以降でも紹介する予定。〈連合通信〉 

府職労ニュースインデックスへ