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2015年 6月15日

経済的理由で中退、101人
全国私教連の調査

もう一段の施策拡充が必要

 全国私教連は6月11日、2014年度に経済的理由で私立高校を中途退学した生徒は、昨年度から18人増えて101に人上ったと発表した。公立高校の授業料無償化に当たる就学支援金制度が10年に始まってからは導入前の半数程度にまで減少したが、中退者をさらに減らすにはもう一段の施策が求められている。

 調査は、私教連の組合がある学校などを対象に実施。28都道府県の280校(全私立高校の約22%)から回答を得た。

 3月末時点で「3カ月以上の学費滞納」を抱えたまま進学・卒業した生徒がいたと答えた学校は132校(47%)。学費滞納生徒は762人に上った。

 就学支援金制度の導入以降も、毎年、一定数の生徒が経済的理由で退学や滞納を余儀なくされている。私教連は支給対象が授業料に限られていることが背景にあると指摘。施設設備費も支給対象に加えるよう国に提言している。自治体により扱いが異なる各都道府県の就学支援についても、拡充させる方向での国の施策を求めている。

授業料以外の経費が重い…私教連調査に寄せられた声

 全国私教連の調査では、経済的理由で高校中退や学費滞納を余儀なくされた生徒らの厳しい実情が報告されている。個々の家庭が抱える問題に支援が行き届かない現行の就学支援金制度の穴が明らかとなった。

 「高校無償化」をめざして2010年に導入された就学支援金制度は、安倍政権によって所得制限が設けられ、公立私立を問わず一定の収入に満たない世帯の「授業料」を学校に支給することで無償にする仕組みとなった。入学金や、月1万7000円程度かかる「施設設備費」など授業料以外の経費は対象外だ。

 それらの諸経費が納められず、退学に至ったケースは少なくない。「父が病気療養中、母はパート。授業料は無償だったが、設備費などが滞りがちだった」(愛知)、「入学時に徴収する諸経費の未納が続いた」(佐賀)、「祖父の年金から(学費を)納入していたが、それが困難になった」(福岡)。

 両親とも非正規雇用になり、学費納入が滞ってしまった家庭も。「父母合わせて年収200万円程度で、子は3人。3月末までに滞納分を払う予定だったが、支払われず連絡も取れない状況」(岩手)。

 生活保護世帯やひとり親家庭の困難も目立つ。宮城県の生活保護受給の母子世帯は、「(授業料以外の)月2万6000円の諸経費の未納が続いた。家庭訪問や面談を繰り返したが、納入の見通しがなく退学に至った」。「母子家庭でトリプルワーク。学費は祖母が支払った」(滋賀)などの報告が寄せられている。

 私教連の永島民男委員長は「現場の教員は困窮する家庭への福祉的な相談対応も求められている。生活保護など諸制度の利用を促し、窓口に同行することも少なくない」と話す。(連合通信)

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