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2015年 9月24日

十分な審議尽くせず
 派遣法政省令などを改定

公正運用が業界エゴの犠牲に

 「改正」労働者派遣法の施行に当たっての政省令案などが9月18日、労働政策審議会の部会で了承された。法成立からわずか7日。制度発足以来の大改定なのに審議は十分尽くされず、労働者派遣制度の公正な運用が、経済界や派遣業界の要望の犠牲にされた形だ。内容、審議のあり方でも課題を残した。

▲発足以来の大改正なのに

 労働法は改正後、労政審で政省令などを検討する。

 初回の審議は、改正法が成立した9月11日の夕方に開催。翌週の火、木、金と3度の審議を経てスピード答申となった。100ページにも及ぶ数種類の資料を繰りながらの作業は、厚生労働省の事務方でさえ混乱するありさま。パブリックコメントの募集期間はわずか3日で、総務省が示す「30日以上」の運用基準にはほど遠い。

 この異常さは、2012年改正時と比べれば歴然。当時は、成立から答申まで3カ月間あった。今回は、経済界や業界の要望に沿って「みなし雇用制度」を骨抜きにする9月30日施行としたため、周知期間を含めて極端に短い審議期間を強いられたのである。

 39項目もの付帯決議を政省令や告示に反映させることが焦点の一つだった。労働側の新谷信幸委員(連合総合労働局長)は部会終了後の囲み取材に応じ、「39項目をいかに落とし込めるかがミッション(任務)だった」と安堵(あんど)の表情を浮かべつつ、「制度発足以来の大改正なのに、とにかく審議時間が短く、全ての項目(の詰め)が浅い」と苦言を呈す。

 政令案を「概ね妥当」とした部会報告には労働側の意見が付けられた。施行準備期間が短いことにより労働者保護が不十分にならないよう求めたものだ。

▲教育訓練はわずか8日

 改正の目玉とされたキャリアアップ措置。新たに派遣会社の義務とされ、政府は「処遇改善につながる」などと述べていたが、派遣業許可基準案では「毎年おおむね8時間以上」の教育訓練機会を提供すればよいとした。懸念した通りの羊頭狗肉ぶりである。

 派遣元の義務の一つである「派遣先の提供」では、能力や就業条件などを踏まえ合理的であるべき、と政府は答弁していた。労働側は政省令で何らかの目安を示すよう求めたが、厚労省内部の指導文書にとどまる見込み。

審議のあり方に課題

 今回の「改正」のたたき台となった13年の労政審の部会審議から、日本人材派遣協会がオブザーバーとして出席している。直接の利害関係者が常時出席して法改正審議に影響を与えることには批判が大きい。実際、同協会の要望をベースにした改正となっている。政省令改定審議でも、同協会の代表が出席し、注文を付けていた。

▲日雇い派遣緩和は延期

 日雇い派遣の収入要件緩和もいったん俎上に。低賃金で労災発生の割合が高く、「モノ扱い」の象徴のような働かせ方で、自民党時代の改正案でも原則禁止の対象となったものだ。

 例外的に認められている世帯収入500万円以上の要件緩和を使用者側が以前から求めていたためだが、労働側が「他に検討すべきことはたくさんあるのに、必要のない緩和をすべきではない」と激しく反発。今回は検討しないこととなった。(連合通信)

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