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2015年 7月16日

最賃アップの請願採択広がる
自治体の定住者対策に期待

宇治市では意見書採択

 地域別最低賃金の引き上げを求める意見書や請願が各地で採択されている。7月3日には、京都府宇治市議会で全国一律の最低賃金制度を求める意見書が採択された。首都圏への人口流出が深刻な静岡県では、東部地域を中心に今年も採択数が増えている。昨年、県議会で請願が採択された島根県では、金額改定により全国最低水準を脱け出すという「効果」も報告されている。

▼保守層にも広がり

 最低賃金の引き上げを求める意見書や請願に法的強制力はない。だが、引き上げの流れを強めるうえでは無視できない。
 宇治市では3日、(1)大幅引き上げを行うとともに全国一律の制度とすること(2)中小企業支援策の改善――を掲げる国への意見書を採択した。共産、民主、無所属の賛成多数(自民、公明が反対)による可決。全国一律を求める意見書の採択は全国的にみても異例だという。

 京都総評は5月、府内自治体に陳情を行った。中小企業経営者を支持基盤とする保守系会派からは「ない袖は振れない」との声も出されたが、中小企業への支援を併せて行うとの趣旨を説明する中で、賛同が広がったという。議会の力関係によって提案や可決に至らなかった自治体もあるが、取り組みを通じて「定住者確保、Uターン、Iターンを進めるには、引き上げが必要との理解が保守層にも一定広がった」と担当者は話している。

 静岡県では、静岡県評が大幅引き上げと中小企業支援を求める意見書採択の取り組みを展開している。昨年は東部地域を中心に富士宮市、富士市、沼津市、伊豆の国市、伊東市、焼津市で採択。今年は河津町、西伊豆町が加わった。

 同県は、人の移住による人口社会減で、全国ワースト2位(13年)。特に20~30歳代や若年女性の流出が顕著だ。流出先は東部、西部地域を含めて首都圏が多い。この問題で県が立ち上げた有識者会議は、「喫緊の課題である人口流出、東京一極集中に歯止めを掛ける社会減対策が必要」と提言している。

 隣の神奈川県とは、川を挟んで時給122円もの最賃格差がある。大都市との格差是正と最賃の大幅引き上げを訴える、労働側の主張が共感を呼びやすい状況にある。

 福岡県は07年度から毎年知事名で最賃引き上げの意見書を上げている。昨年は「できるだけ早期に800円を実現」と、中小企業への支援、施策を求めた。秋田県も毎年、厚労省に地域間格差の是正を要望。最賃の格差が拡大する一方の、現行の目安制度やランク制度に触れながら、制度の見直しを示唆している。

▼全国最低から抜け出す

 島根県議会では昨年、連合島根の提案で、最低賃金改正の請願が趣旨採択された。改定にあたり、一般労働者の賃金水準や経済諸指標などを踏まえた「適正な改正」、中小企業への助成拡充などを請願項目としている。

 連合島根によると、政府が「日本再興戦略」に基づく最賃引き上げを示していたことから、保守系会派にも抵抗なく受け入れられたという。同時に提出した、労働法制についての請願は賛同を得られず、採択には至っていない。

 請願が採択された昨年の地方最賃審議会では、同県の経済指標を踏まえ、Dランク平均まで引き上げるべきとの公益見解が提示された。これにより、前年までの全国最低から2円積み増すことに。今年も請願の効果が期待されている。(連合通信)

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