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2015年 6月30日

「妊娠は悪いことでしょうか?」
マタハラ被害原告 西原ゆかりさん

嫌がらせなどで心の病発症

 妊娠や出産を契機とする解雇や嫌がらせをなくそうと、裁判に立ちあがった女性たちがいる。その一人、介護職員として働く西原ゆかりさん(34)は妊娠後に社内で嫌がらせを受けた体験を語り、「妊娠は悪いことなのか?」と訴えている。6月24日、「マタニティハラスメント対策ネットワーク(マタハラNet)」が開いた被害者らによる合同記者会見での発言だ。

▼業務軽減認められず

 西原さんは、福岡県北九州市のデイサービスセンターで、1年契約の介護職員として働いている。2013年7月末に妊娠4か月と分かり会社に報告したが、業務内容は車いすを抱えての階段昇降や入浴介助など、以前と同じ重労働のまま。勤務時間も1日10時間ほどで軽減はなかった。

 結婚して8年、ようやく授かった子どもだった。「会社は子どもを堕ろせと言うのか」と悩んだ。9月に「勤務時間を8時間にしてほしい」と所長に相談したところ、「特別扱いするつもりはない。一生懸命やらなければ(契約の)更新はない」と言われた。

「子どもはつくるべきではないのか? 妊娠は悪いことなのか?」と自問し、精神状態は不安定になっていった。職場では所長に無視され、それが同僚にも広がり孤立していった。業務上の指示さえ同僚に無視され、利用者の家族から責められることもあった。

 年末には切迫早産と診断されたが、翌年無事女児を出産。その後、精神科で「うつ病」と診断された。

 組合に加入し団体交渉も行ってきた。会社はマタハラやパワハラの事実を認めなかったため、7月に慰謝料を求め提訴した。

 いまも頻繁にうつ症状や記憶の喪失などに悩む。「子どもが生まれたら見せに行く」との利用者との約束も果たせないでいる。西原さんは「妊娠しても働ける職場を」との思いで、裁判を闘っている。

メモ〉法律でマタハラ防止を
 マタハラNetをサポートしている新村響子弁護士は「マタハラを受けた女性は、ドミノ倒しのように次々と悪影響を受ける。そのため予防がとても大切」と指摘。法律上の定義を明確にして企業へ周知することや、罰則規定などが必要だという。政府も女性活用政策の中でマタハラ防止をうたっており、法整備はもはや避けて通れない。(連合通信)

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