京都府職員労働組合 -自治労連-  Home 情報ボックス 府政NOW 京の写真館 賃金 料理 大学の法人化



2015年 8月25日

9月1日施行はとん挫
〈参院の派遣法案審議から〉

混迷深まる政府答弁

 9月1日施行がほぼ頓挫した派遣法「改正」案。参院厚生労働委員会での審議(8月20日)は、混迷を深めていた。度重なる審議中断に、矛盾する答弁、整理のつかない説明。厚生労働省の事務方の耳打ちを受けながら何とか答える塩崎恭久厚労大臣の姿を、与党議員たちが心配そうに見つめていた。

▼「努力義務」の正体

 複雑な改正案の詳細について、民主党の津田弥太郎議員、石橋通宏議員が切り込み、政府側が度々立ち往生する。質問通告をしているのに答弁は要領を得ず、「後日答弁」というふがいなさ。

 極めつけは、行田邦子議員(元気)への答弁で、政府が最も重視してきた雇用安定措置についてだった。派遣見込みが3年の場合、派遣会社は派遣先への直接雇用依頼などが義務付けられ、3年未満だと「努力義務」という建て付けになっている。

 「努力義務」で派遣会社は何をしなければならないのかとの質問に、厚労省の坂口卓政府参考人は「具体的な取り組みの実施を求めない」「法の趣旨を説明し促していく」と言う。

 パート労働法などにある「配慮義務」の場合、結果はともかく事業主は実施する義務を負う。だが、「努力義務」という法律概念はそれさえないという。野党席からは「(努力する)気持ちだけでいいのか」との声が上がる。

 派遣労働者の大多数と見られる「3年未満」の派遣見込みの場合、全く「雇用安定」の効果がないという驚くべき事実に、議場はざわめきがしばらくやまなかった。

▼対照的な反応

 審議を見守る議員たちの表情にも攻防の優劣が反映する。

 塩崎大臣が答弁に詰まり審議が中断すると、厚労省の事務方6~7人が、大臣席に集まり、せわしなく協議し耳打ちしている。その間、与党席の議員たちが心配そうなまなざしで大臣の背中を見つめていた。

 衆院に続き、大臣はことあるごとに、改正案が示す新たな制度の説明を繰り返す。「正社員への道」など何度も聞かされてきたお決まりのフレーズ。野党からはさんざん効果が否定されている内容だ。

 まるで劣勢のボクサーがクリンチに逃げ込むかのように時間を稼ぐ。その間、与党席の議員たちはうつむきかげんになるのに対し、野党席は、「また始まったか」と宙を仰ぐ人、書類でひたいを扇ぐ人、あきれ顔の人、伸びをする人と、対照的である。

▼パートは置き換え可?

 この日のもう一つのヤマが、政府の雇用政策を巡る攻防だった。

 坂口参考人は「常用代替防止」について、「正社員が派遣労働者に置き換えられることを防ぐ」もので、直接雇用で働くパートや契約社員などは、常用代替防止の対象に含まれていないと述べたのである。

 「(非正規労働者を含めて)直接雇用が基本原則ではないのか」との辰巳孝太郎議員(共産)の指摘に、政府側は「法に明示されていない」とし、審議は度々中断した。

 この答弁は改正案とも矛盾する。派遣先への直接雇用の依頼を正社員への一歩と政府自身、説明してきた。直接雇用をあるべき雇用形態と認識しているからこその打ち出しであるはず。また、間接雇用が職業安定法で禁止され、派遣労働は例外であることからしても、直接雇用が基本とみるのが自然だ。

 結局、政府側は「政策的には直接雇用が基本原則」と述べ、場は収まった。

 一連のやり取りで浮かんだのは、厚労省自身が間接雇用の拡大に積極的に手を貸そうとしていること。問題の根は案外深い。

9月初旬にも強行採決の恐れ/派遣法「改正」案/雇用共同アクションが抗議行動

 全労連や全労協でつくる雇用共同アクションは8月20日、派遣法審議が行われている国会前で抗議行動を行った。全労連の伊藤圭一雇用・労働法制局長は「派遣法審議がヤマ場を迎え、9月初旬には強行採決の動きが迫っている。廃案に向けて結集を」と呼び掛けた。

 参議院の派遣法審議では、雇用安定措置の実効性や間接雇用拡大に関する野党の追及に対し、塩崎恭久厚労大臣や政府は矛盾した答弁を繰り返し、「欠陥法案」との批判に反論できていない。にもかかわらず、政府は10月1日の「みなし雇用制度」発動前の改正法施行に向け、強行採決も辞さない構えだ。

 伊藤局長は、直接雇用の原則を軽視するかのような認識が、厚労省の官僚の中にも広がっていると指摘。その上で、「雇用の基本をぶちこわすとんでもない法案であり、派遣労働者だけでなく、全労働者の問題だ」と強く訴えた。今後の派遣法審議は、8月27日、9月1日に予定されており、9月3日以降の審議で採決の可能性があるという。

 ネットワークユニオン東京の寺尾そのみ事務局長は、パソナグループが今年6月からの1年間で売上高約2割増の見込みを発表していることを紹介し、「派遣法『改正』は、派遣会社をもうけさせるのが目的」と批判。アイドルグループ「AKB48」の替え歌に合わせ、派遣法廃案を訴えた。(連合通信)

府職労ニュースインデックスへ