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高校生ユニオン結成に拍手 |
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ジャーナリスト・東海林智 |
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高校生がメンバーの労働組合「首都圏高校生ユニオン」が、8月27日に産声を上げた。厚生労働省の記者クラブで開かれた会見には、6台のテレビカメラが並び、会見室は記者で埋まった。これだけのカメラと記者が集まる会見はめったになく、メディアの関心の高さをうかがわせた。 ▼違法状態が横行 関心の高さの背景には何があるのか。もちろん、このユニオンが〃全国初〃であろうという物珍しさもある。同時に〃ブラックバイト〃と呼ばれる、ノルマの強制、賃金不払いなど労働法を無視した働かせ方を強要するやり方の広がりや、学生生活を尊重しない乱暴な使い方の横行もある。 高校生たちは自分が直面する労働問題を次々に語った。東京都内の定時制2年生の女子生徒(17)は、コンビニエンスストアで働いている。女性店長のパワハラを受け、15分未満の賃金は切り捨てられ、テスト前に仕事を休みたいと言うと「あなたが抜けたら他の人に迷惑がかかる」とテスト期間中も働かされた。千葉県の高校2年生の男子生徒(16)も、15分未満は不払い、仕事で使う靴の代金を勝手に給与から天引きされた。千葉市内の高校3年生の女子生徒(17)は、休憩なしで10時間働かされ、8時間を超えた分の賃金が支払われなかった。テスト前でも休めず、労働条件が明示されていないのは3人に共通している。 高校生たちは個人加盟の労組「首都圏青年ユニオン」(神部紅委員長)に加入し、団体交渉などで現状を打開した。同じようにひどい状況で働く友人たちの力になりたいと、青年ユニオンの支援を得て、高校生ユニオンの結成につなげた。 ▼辞めれば済むのか 止むにやまれぬ思いで立ち上がったのだ。だが、こんなリアクションがあった。会見の内容を聞いた厚労省のある官僚は「ひどいバイトならやめたら良いのに。何か政治的だよね」とつぶやいた。厚労省の役人だけに「君の仕事は何だ」と問わねばならない発言だ。同様に会見後、某紙の記者は「組合を作って闘うより、別のバイトやる方が合理的なんじゃないの。なぜ辞めないの」と高校生に質問を繰り返していた。多分、高校生ユニオンの記事が出ればネットでも同じ反応が出て来ることは容易に想像できる。 こうした反応をする人たちは、多くの高校生が働くことで学びを支えている現実を知らない。バイトで得た賃金から定期代や部活の活動費をまかなう、あるいは学費をまかなう。そうした彼ら彼女らはバイトを簡単に辞めるわけにはいかない。仕事を失うことが学校生活の中断に直結しかねない現実があるのだ。いったん仕事を失ったら、次の仕事が見つかるまでの不安はとてつもなく大きい。 現在、若年非正規労働者の労働条件は、この国の最底辺の労働条件だ。その現場で、さらに違法な労働がはびこることを許せば、この国の労働条件の切り崩しを許すことになる。立ち上がった若い仲間に対する無責任な揶揄(やゆ)もまた、許してはならない。(連合通信) |
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