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経団連と業界の要望を優先 |
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衆議院では修正の審議せず採決 |
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「改正」労働者派遣法が9月11日、国会で成立した。10月1日施行のみなし雇用制度の効果を弱め、企業がほぼ永続的に派遣労働者を利用できるようにする。経団連と派遣業界の要望を優先した内容だ。政府は「正社員への道を開く」など実効性の乏しい想定を繰り返し、最後は数を頼みに押し切った。39項目もの付帯決議は、国会運営の乱暴さを裏付けている。 「改正」作業は最初から異例づくめだった。安倍政権発足から約半年後、労働政策審議会で派遣法見直し審議を開始。民主党政権時の積み残し課題で、登録型派遣や製造業務派遣のあり方を見直すはずが、経団連と派遣業界の要望をベースにした内容を答申させた。利害関係者である派遣業界の代表を常時出席させるという異常さだった。 国会審議もごたごたが続いた。二度の廃案に続き、今年の通常国会では、厚労省が経済界や業界の意向を代弁し、早期成立を訴える“怪文書”を配布していたことが発覚。法案の不備による数十回もの審議中断に、衆院での強行採決、参院審議では最終盤に与党が修正を提案するという「欠陥法案」ぶりを露呈したうえ、その審議を一切行わずに採決を強行した。 何よりおかしいのが、改正法成立から9月30日の施行までの周知期間の短さだ。違法派遣を行った派遣先に雇用責任を負わせる「みなし雇用制度」が施行される前に、何が何でも改正法を施行させようという、なりふり構わない姿勢が際立った。労働者保護どころか、改正内容の周知よりも、企業の意向を優先したのである。 ▲監視強化が必要 改正内容は派遣先に対する直接雇用の依頼や、教育訓練の提供など「雇用安定措置」の実効性は乏しい。労組による監視が必要だ。特に、義務を果たさない派遣会社に対し、許可取り消しを背景に指導するとした政府答弁は、履行させなければならない。 39項目もの付帯決議には、改正法の不備を補強するもののほか、派遣先の団交応諾義務やマージン率規制、みなし雇用制度の拡大など、規制強化への足がかりとなる内容も少なくない。附則では、派遣労働者数の動向などを踏まえ、雇用慣行を損ねる働き方が広がった場合、速やかに見直しを検討することも明記した。 派遣労働の規制をめぐる綱引きは今後も続く。今回の改正では、制度論の「空中戦」に終始し、世論への浸透が弱かった点は否めない。良質な雇用を守り広げていくには、職場の派遣労働者に寄り添い、現場の実態を突き付けていく取り組みが必要だろう。(連合通信) |
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