京都府職員労働組合 -自治労連-  Home 情報ボックス 府政NOW 京の写真館 賃金 料理 大学の法人化



2015年 9月14日

「当事者の声を聴いて」
派遣労働者の怒りの声

派遣法付帯決議、異例の39項目

 派遣法「改正」案が9月11日、一部修正のうえ衆議院で可決・成立した。人を入れ替えれば企業はずっと派遣を使い続けられるという内容。専門業務で働く労働者にとっては新たに上限3年のルールが適用されて雇用の不安定化に拍車が掛かることになる。法案成立に向けて与党が審議打ち切りを強行した8日、傍聴席で成り行きを見守っていた派遣労働者たちからは怒りの声が上がった。

▲傍聴席に与党が恫喝

 8日の参議院厚生労働委員会。午前中の質疑終了直後に与党議員が突然、審議打ち切り動議を出そうとした。野党議員数人が駆け寄って議場は騒然となり、委員長は「休憩」を宣言した。傍聴席の派遣労働者ら数人は、涙ながらに「当事者の声を聴いてください」と叫んだ。傍聴者の発言は禁じられているため、警備員が駆け付けて議場外へ連れ出そうともみ合いに。そのとき、与党席から「(派遣労働者を)早く出せ!」の声が上がった。野党委員が「『早く出せ』とは何だ」とたしなめたものの、与党議員に謝罪の姿勢はなかった。 

 午後3時過ぎに委員会が再開され、与党委員が審議終局と法案修正の動議を出した。修正案は審議もされないまま採決が強行され、与党の賛成多数で可決。委員長が「散会」を告げると、傍聴席からは「与党の皆さん、派遣労働者を見捨てないでください!」。

▲「生活と人生返して」

 夕方には当事者たちが記者会見。「派遣向上フォーラム」代表で派遣労働者の宇山洋美さん(56)は法案の委員会採決について、「与党は全国の派遣労働者の生活と人生を踏みにじったという自覚を持っていただきたい。本当に悔しい」と声を詰まらせた。

 専門業務を偽装して長年勤務していた派遣先で突然雇い止めに遭った50代女性は、「会社との労働紛争で心身がボロボロになった。今回の法改正で違法派遣が合法化され、どこにいったら安心・安全な働き方に出会えるのか、ますます分からなくなった」と述べた。
 仕事後に急いで会見に駆け付けたという40代女性の派遣労働者は、「これまでも違法だらけで働かされてきたが、さらに声を上げられなくなる口封じのような法改正」と批判。

 日雇い派遣で働いてきた30代女性は、参院厚生労働委員会の丸川珠代委員長(自民)らが派遣業界にパーティー券を買ってもらうなど密接な関係にあることを指摘した上で、「法律はお金で買えるものですか。歴史に残る破廉恥な法律です」と憤った。

▲異例の39項目・派遣法付帯決議

 派遣法「改正」案には付帯決議が付けられた。39項目に及ぶ膨大なもので、極めて異例だ。法的な拘束力はないが、今後の法律運用の方向性を示すものとなる。労働者保護のために何が必要かが細部にわたって言及されており、逆に言えば法律がいかに労働者に背を向けたものになっているかが分かる。(連合通信)

府職労ニュースインデックスへ