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2015年 9月28日

労使の話し合いが肝心
〈技官レポート〉ストレスチェック制度 準備編

不利益扱いへの不安払拭を

 今年12月から「ストレスチェック制度」が始まることをご存じだろうか。

 これは、常時使用する労働者に対して、医師、保健師等による心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック)を事業主に義務付けたものである。昨年6月の労働安全衛生法の改正で実施が決まった(労働者数50人未満の事業場は当面、努力義務)。

▲制度を上手に使おう

 ストレスチェックは、(1)職場における労働者の心理的な負担の原因に関する項目(2)その自覚症状に関する項目(3)職場における他の労働者による当該労働者への支援に関する項目――の3つに関し、職業性ストレス簡易調査票(57項目、簡略版は23項目)を用いて行う。調査用紙の項目について、4つの選択肢のうち該当するものに○印をつけていく。例えば、「非常にたくさんの仕事をしなければならない」「活気がわいてくる」「あなたが困ったとき、上司はどのくらい頼りになる」などの項目について、「そうだ/まあそうだ/ややちがう/ちがう」や「非常に/かなり/多少/全くない」の中から当てはまるものを回答する。この調査票で状態を把握し、ストレス状況が高い労働者は、医師の面接指導につなげる。

 ストレスに対する労働者自身の「気付き」を促す効果があることから、制度を上手に導入すれば、メンタルヘルス不調の未然防止が十分期待できるのだ。

 労働者の心の健康確保をめぐる現状は極めて厳しい。厚生労働省の調査によると、職業生活などに関して強い不安やストレスを感じる割合は5割を超えている。仕事によるストレスが原因で精神障害を発症し、労災認定されるケースが昨年度は497件と過去最高になった。この制度を円滑に導入し、メンタルヘルス対策を積極的に進めることがとても重要になっているのだ。

▲説明が必要

 実際に導入するに当たっては準備作業が必要だ。まず、事業場で開催している衛生委員会(安全衛生委員会)で実施方法について話し合い、その結果を踏まえて社内規程を定め、労働者に周知すること。社内規程の策定段階では、労使が制度を十分理解し、よく話し合ったうえで決めてほしい。衛生委員会の場で労働者側の考えも十分伝えることが望まれる。

 ストレスチェックの実施は、年に1度事業主に義務付けられているものの、実は労働者には強制的な受検義務を課していない。そうすると、実施方法がよく分からなかったり、不透明だったりした場合、労働者は不安から「(強制でないなら)ストレスチェックは受検しない」という選択をするかもしれない。これでは、「メンタルヘルス不調の未然防止」という制度本来の目的達成を妨げてしまう。

 どうすればいいか。ストレスチェックの結果は、労働者の意に反するような不利益な取扱い(解雇、降格や異動)に利用させないような体制づくりが必要だ。労働者が安心して受検できる環境にしなければならない。そのためにも、準備に当たっては労使による十分な話し合いで適切な実施方法を決める必要がある。労働者が不安を持つことのないよう丁寧な説明が求められる。(連合通信)

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