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誰のための派遣法「改正」か |
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「生涯派遣」「正社員ゼロ」 |
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「いったい誰のための法改正なのか」 労働法制関連の記事を書くときに、よく使う表現だ。紋切り型に過ぎるので、あまり使いたくはないと常々思っている。だが、やはりこの言葉を使わなければ収まらない。審議が大詰めを迎えている労働者派遣法の「改正」案がまさにそうだ。 ▼派遣で使い回すだけ 同法案を巡っては、労働側から「正社員ゼロ」「生涯派遣」などの厳しい批判が繰り返されてきた。派遣労働者の働く期間の制限を職務から人単位に切り替えることで、3年ごとに労働者を替えれば、永遠に同じ仕事に派遣労働者を使い続けることが可能になるためだ。 政府は言う。「派遣でずっと働かないため」(だから3年で切る)。「スキルアップ措置を義務付けた」(形だけだけど、あとは本人次第です)。「雇用される機会を増やす」(派遣で働く間口を思い切り広げました)。「雇用安定措置を義務付けたので不安定雇用ではありません」(実効性があるかどうか別としてね)。かっこ内には政府の本音を書いてみた。誰のための改正かは明らかだろう。徹頭徹尾、経営者、そして派遣会社にとって都合の良いものだ。 ▼死ねと言うのか 派遣労働の根本的な問題は、人が働くことを〃商品〃と同じように扱うところにある。多様な働き方だの就業機会の拡大だのと、いろいろと理屈をつけてみても、労働の商品化がはらむ問題は当事者でなければ分からない。 改正審議が大詰めを迎える中、専門26業務で働く人を中心に不満、不安が広がり、当事者たちが声を上げ始めた。26業務はこれまで期間制限がなく、改正されれば3年後に雇い止めになる。 製造業務派遣で働いている30代の男性は、現在の仕事が期間満了で雇い止めになるのを受け、7月から専門26業務で働く予定だ。男性は「30半ばを過ぎ、正社員での就職は難しく、せめて長期間働ける専門業務を探した。仕事が見つかり喜んでいたのに3年で雇い止めではやってられない」と怒る。 40代でパソコンインストラクターで働く女性は「9年間同じ会社で働いてきた。派遣でも専門業務なら安定していると考え、勉強もし技術も磨いてきた。専門性を持っていても不安定ならば派遣制度は必要ない」と訴える。 機械・設計の専門業務で15年働く40代後半の男性は「法改正されれば3年後には50代で雇い止めにされる。年齢的に正社員採用はないし、50を過ぎれば派遣先も極端に少なくなるから派遣元での無期雇用もない。死ねと言うのか」と嘆く。 ▼働く者は商品ではない 法改正に伴う、専門業務で働く人が迎えるであろう未来は、ほとんど議論されてこなかった。それは、2008年末の「年越し派遣村」が開設されるまで、製造業務派遣の酷薄な派遣切りが闇の中に置かれてきたのと同じだ。人が働くということを商品として扱うことが作り出す状況だ。 当事者たちが勇気を振り絞って上げた声に耳を澄まそう。そして、その思いに応え、彼女ら、彼らの声を広げよう。誰のための法改正かをはっきりさせるためにも。(連合通信) |
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