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2015年10月16日

「社会的な賃金闘争」の強化へ
全労連が交流集会

全国一律最賃への期待相次ぐ

 非正規や中小企業で働く全ての労働者の賃金底上げをいかに進めるか――。全労連は10月8、9の両日、こんなテーマを話し合う交流集会を都内で開いた。従来の賃金闘争に加え、最低賃金や公契約の改善、公務員賃金の引き上げなど「社会的な賃金闘争」を重視する方向が提起され、歓迎する声が相次いだ。

▲大がかりな運動を要望

 この時期に2日間にわたり、春闘や最低賃金、公契約、公務員賃金などを話し合う集会を開催するのは初めてだという。

 2013年以降、労働界全体でベア春闘が展開されたが、メディアの派手な扱いとは裏腹に、実質賃金は低迷が続く。従来の春闘の仕組みでは賃上げが波及しにくくなっているとも指摘される。

 全労連の井上久事務局長は「生計費原則に基づく原則的な賃金闘争に加えて、最賃、公契約、公務員賃金改善、中小企業支援など、すべての働く人々の実質賃金底上げをめざす『社会的な賃金闘争』を総合的に進めることが重要」と指摘。最賃を全都道府県で同額にする「全国一律最賃制」実現を軸にした取り組みなどを提起した。

 最賃の地域間格差は時給で最大214円。その水準も貧困を解消するには十分ではない。大分県労連は大企業の相次ぐ撤退で疲弊する地域の現状を報告。「今は賃上げ相場も作れず、波及もできない。『社会的な賃金闘争』に力を注ぎ、特に最賃を重視しているが、Dランクの大分県と(東京などの)都市部の格差が毎年広がるのが本当に腹立たしい。全国一律最賃実現への大がかりな闘いを」と提起を歓迎した。

 特別報告を行った医労連も「看護師初任給の地域間格差と、地域別最賃の格差がリンクしている。同じライセンスで働きながら地域によって格差がある。診療報酬の改善を含め、全国一律1000円以上を求める社会的な闘争に取り組むべき」と強調した。
 中小企業の経営支援の必要性も言及された。京都総評は今年の地方最賃審答申で、底上げを行う中小企業への助成金(現行は最賃800円未満の地域に限定)を全国で活用できるよう、国に制度拡充を求める一文が加えられたことを報告。経営側を巻き込む条件の広がりを指摘した。

▲新たな官民共闘も

 そのほかの課題では、東京が今春闘で賃上げを求める公務と民間の共同行動を展開し、「民間の中小企業は(公務の賃金に)追いつくことを目標にしてきた。それを引き下げてはならない」と訴えたと報告。京都は、公務員給与の総合的見直しで賃下げを勧告しないよう迫る要請行動に民間労組が参加したことを紹介。賃下げの人事委員会勧告を押しとどめるとともに、春闘時には民間労組のストを公務労組が支援し共闘を強めたと語った。

 全教は人事院勧告策定の指標となる、一人世帯の標準生計費(月額11万4720円)が著しく低く抑えられていると指摘し、「地方公務員の給与は、制度は国で、水準は民間。最賃をどうするかという観点で闘いを強めたい」と発言。JMIUは、経営側が「成果主義なので、一律のベア要求は受け入れられない」と頑なに拒む民間企業での春闘交渉を報告。組合内で議論を深めた結果、全員一律の賃上げ要求を堅持し、ベアを獲得したと語った。

 民放労連は、テレビ朝日労組で、労使交渉を通じ、放送局で働く派遣労働者約680人分の派遣料引き上げを会社に確約させ、実際に賃上げにつなげたことを紹介した。地方ローカル局でも同様の成果が出始めるなど、人手不足の中、経営側の認識も変化してきていると手ごたえを語った。

35地方では全く傍聴認めず全労連が独自調査地方最賃審の運営を批判

 最低賃金がいくらになるのかが、近年、身近な関心事になってきた。そんななかで、額を決める地方最低賃金審議会が密室運営になっていることへの批判も高まっている。具体的な金額がやり取りされる専門部会については、35都道府県が全く傍聴を認めていない。全労連が独自に調査したデータ(次頁の図参照)によると、専門部会を全てオープンにしているのは鳥取の審議会だけ。宮城や埼玉など10県は一部を傍聴可能としている。なかには、審議会の資料さえ全く配布しないところが島根や徳島など6県もある。

 全労連は、審議会で意見陳述する機会を設けてほしいと要求している。それが認められているのは現在25道府県。13都県はいまだに拒み続けている(残りは要求していないなど)。今年から可能になったのは栃木、兵庫、北海道、広島、山口である。
 全労連常任幹事の斎藤寛生氏は、「同じ厚生労働省の労働政策審議会は原則公開になっている。最低賃金を決める大切な審議が密室になっている現状はおかしい」と批判している。

▲6人が異議申し立て/中央最賃審の全労連排除で

 全労連から中央最低賃金審議会の労働者委員に立候補していた6人全員が10月7日、今回任命されなかったことに対して異議申し立てを行った。

 この日、6人は厚生労働省を訪れてそれぞれ意見を述べた。生協労連の柳恵美子副委員長は「私たちの組合は65%が非正規で最賃引き上げは切実。最賃額による最低生活体験も行っており、そうした実態を反映したいと委員に立候補してきた」と指摘。任命基準も不明確なうえ、任命されなかったという連絡さえない対応を「常識ではあり得ない」と批判した。(連合通信)

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