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2015年10月06日

給付型奨学金の導入・拡充へ
8人に一人が延滞か返済猶予に

労福協がキャンペーン開始

 有利子の「教育ローン」と化した奨学金制度の改善に向けて、中央労福協が本腰を入れ始めた。社会の門出に当たって数百万円もの借金を背負わせる現行制度は、貧困の連鎖と少子高齢化の加速を招くと指摘。返済の必要のない給付型奨学金の導入・拡充を訴える。10月2日には都内でキックオフ集会を開き、取り組みの強化を確認した。〈給付型奨学金の導入を求める集会では「確固たる成果を勝ち取ろう」と呼びかけられた(10月2日、都内・連合会館)


▲「夢物語ではない」

 奨学金制度はこの約15年間で様変わりした。1999年に有利子貸与に傾斜して以降、当時、全体の2割程度だった有利子奨学金の利用者は、12年には7割へと膨れ上がった。

 この問題に詳しい大内裕和中京大学教授によると、初年度入学金50万円と、月額12万円の有利子奨学金を4年間受け取ると、債務総額は843万円。卒業後、月々約3万5000円を20年間返済し続けなければならない。現役で入学し4年で卒業したとして、完済は最短で43歳。失業や非正規での就労となると、たちまち行き詰まる。

 長期デフレの下、家計所得は低下した。一方、高卒求人は減り、大学の学費は高騰し続けている。奨学金の需要は高く、大学生の2人に1人が利用しているが、無利子枠は少ない。現在、利用者の8人に1人が延滞か返済猶予。大学授業料が有償で、給付型奨学金のない国は、OECD(経済協力開発機構)加盟国の中では日本だけだという。

 集会では、夫婦ともに奨学金返済に追われ、子どもを持てないでいる公立高校教師や、将来の返済負担を懸念し4年制大学への進学をあきらめた生徒の実例が報告された。

 中央労福協は、給付型奨学金の導入・拡充を求める署名活動や、地方議会での意見書採択を呼び掛けている。近く発足する超党派の国会議員連盟との連携や、アンケート調査、政策提言も行う。

 多重債務問題に詳しい岩重佳治弁護士は「(この要求は)夢物語ではない。私たちには、かつてヤミ金や商工ローン問題に取り組み、貸金業法の改正を勝ち取った成功体験がある。人として大切にされる世の中にしていこう」とエールを送った。(連合通信)

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