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2015年12月24日

鎌倉市政に民主主義の回復を
労組や市民が結集

「市職労つぶしは許されない」

 鎌倉市職労(自治労連加盟)に対する組合つぶしの強まりに対し、市民や地域の労働組合が立ち上がり始めた。12月13日には、市役所の目の前にある商工会議所ホールで「鎌倉市政を市民と働く仲間に取り戻す会」を結成。約250人が駆け付け、市政に民主主義回復をアピールした。

▲自民党系議員が主導

 市職労が労働委員会に申し立てているのは、(1)特殊勤務手当の一方的削減(団交拒否)(2)大幅賃下げに伴う激変緩和措置の全面削除(3)組合事務所の追い出し――の3件。自民党系の一部議員が主導し、市長を巻き込む形で進めているのが特徴だ。

 ことの発端は2014年9月。最大17・9%もの賃下げに伴う激変緩和措置を、市議会が削除したことに始まる。賃下げ自体は労使が合意したもので、一度に実施すれば生活への打撃が大きいため、段階的に行うという内容だった。その条例案に対し、一部議員が「甘い」と反発。緩和措置を削除する修正案を出し、議会が可決。労使合意の一方の当事者である市長はこれに抵抗せず、容認してしまったのだという。

 上部団体である自治労連の中川悟書記長は、「賃金条例に議会の承認が必要なのは当然だが、議会が内容を修正して可決するのはおかしい。内容に不満があれば差し戻して再検討を求めるのが筋だ」と指摘する。

 組合事務所問題は、新たな施設建設のために事務所移転が必要になったというのが、そもそもの話。組合は移転に同意しており、代替地を要求していたところ、市側は誠意ある対応をせず、代替地が確保されないまま、現事務所の契約が切れてしまったのだ。労働委員会から出された勧告と要望書は、市庁舎の敷地内に用地を確保することを前提に、労使で協議するよう求めている。市側はこれに従おうとはしておらず、組合は地域の組合とともに、万が一に備えて10月末以降、事務所への泊り込みを続けている。

▲職員にも人権がある

 攻撃の対象は、市職労だけではない。市庁舎ロビーに置いてある市民向けのチラシや機関紙についても、安倍政権批判や憲法9条擁護の書かれたものは「一方的な政治的主張だ」として撤去されるようになった。

 市職労によると、ある社会福祉法人の建物に張ってあった「9条」ポスターまでやり玉に挙げられた。

 組合に対するのと同様、「目障りなもの」「自分の考えと違うもの」は徹底して排除するという姿勢の現われだ。

▲商店会会長も苦言

「取り戻す会」の結成集会には、地元商店会の一つ常盤共栄会の会長も参加してあいさつ。「自治体は憲法に基づいて行政を行うべきで、市の職員にも基本的人権がある。民主主義をわきまえない横暴な行為は許されない」と指摘。

 地域でゴミ問題に取り組み、市民の一人として会の代表委員に就任した仲築間卓三さんは「これは組合だけの問題じゃない」と述べて、住民サービスの削減につながりかねない懸念を表明。市長や一部議員を念頭に「憲法を読んだことのない人ばかりだ。憲法が生きる鎌倉にしようじゃありませんか」と呼び掛けた。

〈解説〉3市で闘い続く

 自治体労組への攻撃は「西の大阪、東の鎌倉」と言われる。「西」は、橋下前市長による数々の不当労働行為を指す。大阪市の組合・職員に対し、思想調査や事務所撤去などを行ってきた一連の問題だ。11月には中央労働委員会が組合事務所問題で不当労働行為だと認定。現在は事務所撤去命令の是非をめぐる裁判(最高裁)が進行中だ。

 同じ大阪府内の泉佐野市でも、団体交渉の拒否や組合費のチェックオフ(天引き)中止などの組合攻撃が続いている。組合が大阪府労働委員会に申し立てた6件の事件では、勝利命令が出されているものの、市は従おうとしていない。11月30日には、泉佐野市職労支援共闘会議が結成されている。

 自治労連本部によると、組合つぶしが特に表面化しているのは大阪市、泉佐野市、鎌倉市の3つ。「だが、組合攻撃を売り物にしている議員は各地にいる。労働法をわきまえず組合事務所も他の施設と同じように使用料を取って当然という声さえある」と語る。

 公務員バッシングや組合攻撃が票になるという風潮は今も強い。だがそれは、大阪市の例でも明らかな通り、住民サービスの切り下げと一体だと理解され始めている。住民とともにどう反撃していくかが大きな課題だろう。(連合通信)

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