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開示文書はほぼ墨塗り |
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違法派遣の「隠れ蓑」か |
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開示文書はほぼ全て墨塗り――。元派遣労働者の女性が、東京労働局に違法派遣を申告し、その対応についての文書開示を請求したところ、こんな内容の資料が同局から「開示」された。労働局の指導は違法派遣の単なる隠れ蓑なのか。そんな不信感さえ生じかねない対応に関係者は憤る。 ▲納得し難い墨塗り理由 女性は都内の民間企業で13年間働き、2014年に雇い止めされた。OA機器操作の専門業務派遣とは名ばかりで、電話応対やお茶出し、海外出張の社員の世話など庶務が多く、同社には派遣法上の雇用責任があると主張していた。 争議は翌年、都労委で和解したが、今でも納得できないのが労働局の対応だ。是正指導を求めた申告に対し、「(該当する)違反はなかった。(派遣元・先間の)調整が不十分だったので是正指導した」と口頭で伝えられただけ。調査結果や指導内容は伝えられていないからである。 そこで、調査や指導内容を明らかにしようと、「行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律」(情報公開法)に基づき、8月、開示を請求していた。 11月、A4版45枚にも及ぶ資料が手元に届いた。調査結果と「復命書」を開示すると記載されているが、本人作成の資料を除き、担当官の氏名の他は、ほぼ全て墨塗り。真っ黒なネガフィルムのようなページがえんえんと続く。 不開示の理由は、請求された資料が『開示された個人、法人が権利、競争上の地位、正当な利益を害するおそれがあること』に該当するとのこと。しかし、この説明は納得しにくい。違法行為がなかったのであれば、開示しても利益が害されることはない。違法が確認されたのであれば、情報開示から守られるべき「正当な利益」があるとは思えない。 労働局の指導とは違法派遣の隠れ蓑なのか――。当事者の不信感は募る。 ▲「改正」派遣法にも影響 数多くの派遣労働争議に関わってきた労組関係者によると、違法派遣に対する行政指導の内容は口頭で伝えられるだけで、文書で示されることはないという。裁判に訴え、裁判所が文書開示を命令しない限り、働く者はなすすべがないのが現状だ。 派遣法は違反に対し、行政が指導・勧告することにより是正する仕組み。直近の「改正」で派遣元に新たに義務付けられた「雇用安定措置」(派遣先への直接雇用依頼など)も、政府は「厳格な指導を行う」と繰り返し答弁、是正しない派遣会社は営業許可を取り消すと述べていた。 しかし、労働局の調査結果や指導内容が、申告した当事者本人にも知らされない、検証不可能な対応で、法を公正に運用できるといえるだろうか。 前述の女性は「労働局の役割とは何か。そもそも労働行政とは何のためにあるのか。根源的な問いに厚生労働省は答えてほしい。労働行政のあり方そのものが問われている」と語る。(連合通信) |
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