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2015年11月13日

介護労働者の声を聞け
現場無視する国の政策に怒り

介護報酬引き下げは業界再編の起爆剤か

 今年4月に行われた過去最大の介護報酬引き下げによって、介護業界は苦境に立たされている。全労連主催で11月7日に開かれた介護学習決起集会では、安倍政権が提唱している「介護離職ゼロ」について、「働き手不足が深刻な現場の実情をまるで分かっていない」という告発の声が上がった。

▼特養を一部閉鎖

 ある事業所では、報酬引き下げを受け昇給幅の圧縮とボーナス削減が提案された。これでは処遇改善加算があっても、生涯年収は減少する恐れがあるという。

 足立区では、経営が苦しくショートステイと特別養護老人ホームを一部閉鎖した施設も。デイサービスでは、介護報酬引き下げの影響で朝夕の送迎を手伝う添乗員をつけられなくなったという事例が報告された。

▼今でも赤字なのに

 介護ヘルパーの本間則子さん(東京民医労勤医会支部)は、「中小の訪問介護事業所の多くは既に赤字経営。介護報酬引き下げによって処遇改善など到底見込めない」と話した。このままでは仕事に誇りを持てなくなり、専門性も低下してしまうと懸念した。

 人手不足の原因についても「非常勤のヘルパーは訪問時間で賃金が決まる出来高制。不安定な働き方であり、常勤化などの措置が取られなければ人材確保はできない」と指摘した。

▼業界再編が目的か

 社会福祉法人「泉湧く家」の宮永定男理事長はこう話した。

「介護報酬改定によって経営がぎりぎりの小規模事業者は倒産していく。そんな中で介護企業の吸収、合併が進行している。業界再編の流れであり、小規模事業者は淘汰されていくだろう」

 その上で、政府による「介護離職ゼロ」の提起と報酬引き下げは、業界再編を通じて人手を確保したい大手企業向けのものではないかと指摘した。

 全労連は「単なる処遇改善加算ではなく、働き続けられる賃金水準への引き上げが必要。サービスの質確保は利用者のためでもある」と訴えている。(連合通信)

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