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2015年12月24日

順守率は69%だが…
非正規公務員の働くルール

NPOが全国の自治体を診断

 自治体などで働く非正規職員の処遇改善をめざすNPO「官製ワーキングプア研究会」は12月17日、全国の自治体を対象に行ったアンケートの結果を発表した。働くルールを守っているかどうかを尋ねたもので、平均順守率は69%。集計結果からは、ルール違反の実態を自治体自身が十分認識できていない現状が浮かび上がった。同研究会ではこの状況を自治体側にフィードバックし、改善に結びつけたいとしている。

 アンケートは雇い止めや差別処遇の有無、年次有給休暇や産休・育休制度など50の質問に○×で回答する形式。法令や行政通知、過去の判例などに基づいて最低限守らなければいけない項目を設定し、一般職、特別職、臨時職員と採用・任用形態ごとに集計した。都道府県や政令市など221団体に送付し、164団体から有効回答を得た。

▲上限設定は根拠なし

「1年の任期で3回まで更新」など、働ける期間に上限を設ける制度は法的には何ら根拠がなく、雇用継続は可能とされている(総務省通知)にもかかわらず、164団体のうち24団体(15%)が採用。新たな任期と前の任期の間に挿入する「空白期間」についても、法的な必要性がないまま多くの自治体が設定している。「臨時職員」に限ると137団体のうち96団体(70%)が儲けていた。健康保険や年金の資格喪失、有給休暇消失などの不利益を生む原因となっている。

 集計を担当した地方自治総合研究所の上林陽治さんは「非正規公務員には労働基準法などが一部適用されていない職員がいるため、自治体側が『順守しなくていい』と思い込んでいるケースが考えられる。公務員法の陰に隠れ、民間企業なら当然負うべき責務を免れている」と指摘している。

▲産休未整備の職場も

 育児休業制度自体がない団体は、164団体のうち55団体(34%)。特に「臨時職員」は、民間労働者の「育児・介護休業法」と「地方公務員育児休業法」がともに非適用のため、育休未整備率は72%に上った。さらに臨時職員は、労基法上の義務である産前産後休暇さえ未整備の団体が23%あった。

 非正規公務員に占める女性の割合は74%と高く、女性やジェンダーの問題でもある。同研究会理事で和光大学教授の竹信三恵子さんは「自治体が制度的なマタハラをやっている状況。国が女性活躍を進めているなかで、行政が女性活用を阻害してどうするのか。そうした視点から改善を求めていく必要がある」と指摘している。

▲自治体側も高い関心

 今回アンケートを送付した自治体のうち4分の3が回答した点について、同研究会の白石孝理事長は「高い回答率に正直驚いている。自治体の側も全国的な実態を知りたいというニーズの現れでは」と指摘した上で、今後の活動について「調査結果をフィードバックするとともに、労働組合や当事者の声をもっと大きくしていくことで、実態の周知や改善につなげていきたい」と述べた。
 調査結果は、同研究会のホームページでも後日公開される予定だ。(連合通信)

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