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2015年10月23日

「防衛費増やすばあじゃない」
東京で全国集会・反貧困ネットワーク

生きづらさの広がりを告発

 貧困撲滅を掲げて活動している反貧困ネットワークが10月17日、東京で「反貧困全国集会」を開いた。今年のテーマは「死ぬのはイヤだ!生きぬくためにつながろう」。さまざまな世代に広がる貧困の現状を報告し、改善の道筋を話し合った。

 福島第一原発事故で札幌に自主避難し、同じ境遇の人々を支援している宍戸隆子さんは、「自主避難者が今後貧困に直面することになる」と訴えた。福島県が自主避難者への住宅支援を打ち切ることにしたためで、「母子で避難している人たちは働くことも容易ではない。住宅ローンも残ったままでは、生活が困窮するのは明らか」と指摘。避難している高齢者の自殺が少なくないことにも触れながら「国はこんな状況を放置しておいて、防衛費を増やしたり、オリンピックをやったりしている場合じゃない」と憤った。

 生活保護を利用している福島市のNさんは、高校に入学する娘の奨学金が全額生活保護で「収入認定」された経緯を報告(現在は取り消し)した。収入認定されると、その分保護費が減額される。Nさんは「娘は奨学金を得るために成績や出席日数ですごく努力した。その努力が全く報われなかったことにショックを受けた」と話した。

 高額の奨学金返済を抱えた大学生や、タダ働き同然の目に遭った元キャバクラ嬢らも発言し、貧困問題が依然深刻であることを相次いで告発した。

〈反貧困全国集会から〉/中卒・母子家庭は自己責任?元キャバクラ嬢の訴え

 今はキャバクラ勤めをやめている「キャバユニコさん」が自らの生い立ちを語り始めると、会場は静まり返った。初めて明かすと前置きして話し出したのは、いやおうなく貧困に陥っていった10代から20代の出来事。これを自己責任だと決め付けることは誰にもできない。

 10月17日に東京で開かれた反貧困全国集会のシンポジウムでのこと。

▲高校に行きたかった

 17歳でキャバクラ店に勤め始め、店を転々としながら25歳で退職。賃金の未払い分をキャバクラユニオン(フリーター全般労組)の支援で支払わせた経緯などを報告した後で、「今日は初めて私の生い立ちを話します」と前置きして語り出した。

 小学校6年生から中学校1年生の頃、父親が1000万円の借金を抱えて自己破産。両親は離婚し、ユニコさんは母親に引き取られた。「中学生のときは、高校へ行ってかわいい制服を着たいと思っていました。高校見学にも行きましたが、母親が体を壊し、臓器も摘出する状態では無理。高校に行けずとても悲しかった」

 中卒の学歴では就職もままならず。16歳で結婚・出産したものの、夫は生活に必要なお金まで使い込んでしまう。子どもに貧しい思いをさせたくなかった。すると、働ける場所は自ずと限られる。

 今ではキャバクラ勤めをやめて母子で暮らす日々。昼間の仕事を探しているが、「小さい子どもがいると分かると、面接で落とされます」。そんな中でも、なんとか生きている。復縁した両親とのつながりを大事にしながら、「少し幸せを感じられるようになってきました」と語った。

貧しい女性にたかる商売働いても賃金がマイナスに

 キャバユニコさんが所属するキャバクラユニオンの布施えり子さんは、「キャバクラをはじめ貧しい女性を食い物にする商売はいっぱいある」と指摘した。

 結成から6年でユニオンが交渉したキャバクラは約200店。その中には、時給が400円や65円の人もいた。バスタオル一枚を5000円で貸し付けて日給50円という例もあったという。それは、遅刻などへの罰金を加算して給料から差っ引くためで、給料がマイナスになることもある。「客ではなく、店の女性を搾取する構図が定着している。東京・上野の公園で野宿しながら働き、賃金が未払いだった子もいました。貧困のオンパレードです」

▲つながりを大切に

 ユニコさんは、キャバクラを辞めた後、雀荘にアルバイトで勤めたことがある。当初は時給870円。でも、従業員は「仕事として」賭けマージャンに参加させられる。ひどい時は「1日で2万円負けた」ことも。働きに行ったのにお金を取られるという理不尽な目にあったのだ。「そんな店はいっぱいありますよ」とユニコさん。

 布施さんによると、キャバ嬢の中には生活保護利用者や精神疾患を患っている人が少なくない。「うちの組合員は年収100万円台の子ばかり。福祉事務所の窓口へ行っても、『働けるでしょ』と言われ、キャバクラへ。そこでうつになって賃金も未払い。やむなく生活保護へというパターンです」と明かす。

 ユニコさんは最後に、とにかく人とつながること、一人で悩まず誰かに相談すること、そんな場所を設けることを強く訴えていた。(連合通信)

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