残業・深夜勤無制限、休憩・休日もなし

ホワイトカラーエグゼンプション

残業代はく奪を日本経団連が提言

 何時間残業しても残業代はゼロ──働く者だけが損をする そんなバカな  という制度の導入を求める提言を日本経団連がこのほど発表しました。 「エグゼンプション」と呼ばれるこの制度は、ホワイトカラー労働者を、労基法の労働時間規制の対象から外すもの。1日の労働時間はもちろん、深夜業、休憩や休日についてのルールもなくされることに。 時間365日、労働者を働かせる仕組です。
 同様の制度を実施する米国では、「残業代はく奪制度」と労働者から批判されていますが、それでも年収や職務内容に一定要件をつけ、対象者を絞っています。 ところが、日本経団連の提言では、研究開発など専門職の裁量労働制対象業務に関しては「年収の多寡にかかわらず…エグゼンプション制度を適用」と収入要件なし。「年収400万円以上」であれば、専門職以外のすべての業務についても、エグゼンプションの対象にしています。
 職務内容に関係なくホワイトカラー労働者全体に網をかけるため「(対象は)地位、権限、責任、部下人数等とは無関係」としているのも特徴です。


避けられない長時間労働

「成果」競わされて逃げ道なし

 残業代不払いや、労働時間の長時間化が目的ではなく、裁量ある働き方をめざすもの──日本経団連はホワイトカラーエグゼンプション制の狙いをこう説明します。
しかし、これはまゆつば。例えば、日本経団連の紀陸孝常務理事は衆院厚生労働委員会の参考人答弁(03年6月3日)で「現行の法制(では)…十分な研究開発の時間がとれない…結果的にコスト増になってしまう」と述べ、エグゼンプション制導入を求めました。長時間労働をさせても残業代を出さずコストを増やさない狙いは明らかです。
 現在の法制度の下でも、「裁量なき裁量労働制」の実態が問題になっています。ある調査期間(00年)によると、裁量労働制が適用可能な労働者のうち、業務手順や時間管理に本人の裁量が保障されていたのはわずか8・5%。東京労働局の調査では、一般の労働者に比べて裁量労働制の労働者の方が、有給取得に裁量がないという結果も出ています。
 どんなに残業をさせても残業コストが発生しないならば、ノルマ強化でもっと働かせるのが生産性を向上させる一番の近道。成果主義賃金で「成果」を競わされる労働者に逃げ道はありません。

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