藤沢作品『蝉しぐれ』

黒土三男監督で10月1日から全国ロードショー

 市井に生きる人々の思いや生き方を独特の筆致で描く藤沢周平作品。そのなかでも最高傑作として多くの人に読みつがれる同名の原作の映画化です。
 舞台は江戸時代。東北の小藩「海坂藩」の下級武士である養父のもとで成長する牧文四郎(市川染五郎)。隣家に住む幼なじみ・ふく(木村佳乃)に淡い恋心を抱きながら友人らと剣術や学問に明け暮れていました。ところが、尊敬する父が藩の世継ぎ問題に巻き込まれ、切腹させられます。文四郎は謀反人の子として、つらい日々を過ごすことになりますが……。
 青春、友情、恋、父と子、生き方などのテーマが散りばめられ、藤沢周平の世界が見事に再現されています。 黒土監督は15年も前からこの作品の映画化を構想し、03年にNHKがテレビドラマ化した時の脚本も手がけました。原作者の出身地で、作品の舞台でもある山形・庄内地方にオープンセットを作って撮影。美しい風景が随所に織り込まれています。10月1日から全国ロードショー。
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